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何度も万引きを試みる野良犬が警察の御用に

米国ノースカロライナ州南部に位置するデュプリン郡で1頭の雌の野良犬が巻き起こした「万引き騒動」が話題を集めています。

野良犬の名前は「シス」。デュプリン郡の街中をさまよっていたシスはおもちゃ屋さんのショーウィンドウに飾られ「あるもの」に気がつき、足を止めます。それは紫色のユニコーンのヌイグルミでした。(下の写真参照)

ショーウィンドウの前から動こうとせず、一心不乱にユニコーンのヌイグルミを見つめるシス。他のヌイグルミには目もくれず、どうやらよほどお気に召したようです。

本来ならば気に入った商品を見つければ、会計を代金を支払い購入するところですが…野良犬のシスにはお金も、「買い物をする」という概念もありません。そこで、シスはおもちゃ店にこっそり忍び込むと、ユニコーンのヌイグルミを盗み出すという手段に出ます。あえなく、初回は失敗。それでもシスは諦めませんでした。

なんと、懲りることなくその後もお目当てのユニコーンのヌイグルミの万引きを4回も試みては、そのたびに店員に見つかり未遂に終わっていました。

5度目にしてようやく、おもちゃ屋に侵入したシスは待ち構えていた警察と動物愛護施設職員により「御用」となります。そのままシスは動物愛護施設へと搬送されることになりました。

しかし、シスは手ぶらでおもちゃ屋を後にしたわけではありませんでした。見かねた動物愛護施設職員が例のユニコーンのヌイグルミをシスに買い与えてくれたのです。

念願のヌイグルミを手に入れたシスは嬉々として動物愛護施設に入所しました。

シスがおもちゃ屋さんに現れた当時、おもちゃ屋から連絡を受けた動物愛護施設の責任者ジョー・ニューブルンは、おもちゃ屋からの引き取りを要請する電話を振り返りこう語ります。

「実に奇妙な連絡でした。おそらく、これまで受けた中でも最もおかしな電話連絡と言ってもいいでしょう」

なぜシスがそこまでこのユニコーンのヌイグルミに執着を示したのか、正確な理由は不明ですが、おそらくかつて飼い犬時代にユニコーンのヌイグルミを持っていたか、あるいは飼い主の家庭には子供がおりユニコーンのヌイグルミがあったのではないか…とニューブルンは推測しています。

どうやら元々は飼い犬だったらしく、迷い犬の可能性もあると考えた動物愛護施設職員はシスの情報をサイトに告知。探し犬などで該当しないか調べましたが、結局飼い主が見つかることはありませんでした。

新たな飼い主を募集することになったシス。幸いにも、シスとユニコーンのヌイグルミのエピソードを知った多くの人々から、引き取りたいと申し出が殺到します。

そしてその中から飼い主としてふさわしいと施設が判断した人物が晴れてシスの新しい飼い主さんに選ばれました。

家を失い路上生活を送りながら、ヌイグルミ欲しさにおもちゃ屋さんに何度も侵入したシスですが、ようやく再び温かな家庭に迎え入れられました。お気に入りの紫色のユニコーンのヌイグルミがあれば、きっと新しい暮らしにもすぐに馴染めるはず。ヌイグルミと新しい家庭を手に入れたシスが末永く幸せでありますように。

シスの一件がきっかけとなり、おもちゃ屋さんのオーナーは同愛護施設で暮らす動物たちのためにヌイグルミを寄付することにしたそうです。きっと施設に入所している保護動物たちにとって、ヌイグルミの存在は大きな慰めとなることでしょう。

 

プレビュー画像: ©Facebook/Sweet Buffalo