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ジーンとくる話

心ない人間によって足を折られ、瀕死のまま遺棄された子犬

人間はペットを選ぶことはできても、ペットは飼い主を選ぶことはできません。ペットを飼うということは、すなわち、その一生を責任持って面倒を見るということを意味します。もちろん、飼い主としてペットに愛情を注ぎ、健康で快適な生活をペットが送ることができるようサポートすることも不可欠です。

しかし、残念ながら世の中には飼い主としての最低限の資格すら備えていない人間もいます。思っていた以上に世話が大変だから、予想以上に大きくなりすぎたから、などの身勝手な理由でペットを手放す人が後を絶たないのは事実です。

ライフスタイルの変化や動物アレルギーなど飼い主の都合上、やむをえずペットを飼うことができなくなった場合、ペットを安心して任せることのできる新しい飼い主を探したり、里親を探す動物愛護団体に託すなど、ペットが第二の暮らしをスタートすることができるよう飼い主として最後の責任を果たすべきです。しかし、一部の身勝手な飼い主の中には、こうした最後の責任すら放棄してペットを遺棄する人もいるのです。

ブルガリアに暮らす生後10ヶ月の子犬「デューク」に待ち受けていた運命は、ただ単に飼い主に捨てられる以上に残酷なものでした。

デュークに飽きて厄介払いしたいと考えた飼い主は、手始めに隣人らにデュークが感染症にかかったと吹聴して回りました。

そして古いトレーラーにデュークをチェーンで結びつけると餌も置かずに遺棄したのです。しかも、残酷にもデュークの両前脚を折った上で置き去りにしたのでした。

飲まず食わずで遺棄され、飢えと苦痛に耐えること10日目。幸いにも近隣住民がデュークに気付き、動物愛護団体「Rudozem Street Dog Rescue」(ルドゼム野良犬救助)に通報。救助を求めました。

連絡を受け、直ちに現場に急行した愛護団体職員。しかし経験豊かな職員ですらデュークの姿に衝撃を受けずにはいられませんでした。すっかり痩せ衰え、糞便にまみれた毛皮はきついアンモニア臭を放ちノミだらけでした。

「すっかり怯えきっていました。前足の爪先は潰され、へし折られた前脚の骨がブラブラであらゆる角度に曲がり、動くことすらままならない状態でした」と保護団体職員のトニー・ロウルズは保護当時を振り返ります。

救助後、獣医の治療により骨折した前脚にはギプスが施されました。虐待の体験から怯えて萎縮するデュークを案じたトニーは自宅にデュークを連れて帰りました。

最初の1週間、デュークは怯えたままでトニーが撫でようとすると身をすくめてしまうほどでした。元の飼い主から受けた虐待体験がデュークに人間、特に成人男性に対する恐怖心を植え付けたことは明らかでした。トニーの妻ダイアナに対しては少しだけ心を許しリラックスできるようでした。

前足爪先は完治するまでに複数回手術を要しました。トニーとダイアナの愛情を受け、デュークはゆっくりとでも着実に人間に対する恐怖を克服し、心を開いていきました。

現在、デュークはイギリス在住の女性に引き取られ幸せな第二の生活を送っています。

元飼い主に遺棄されていたところを救助されたデューク。もし近隣住民の通報がなければ、悲惨な最期を迎えていたことでしょう。辛い体験を乗り越えたデュークに今後より多くの幸せが訪れますように。

【身勝手な元飼い主】鎖に縛り付けられ置いて行かれた母犬と6匹の子犬の救出物語も是非ご覧ください。

プレビュー画像: © Facebook/RSDR Rudozem Street Dog Rescue