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ジーンとくる話

余命わずかな犬が穏やかに旅立てるよう施設に泊まり込む女性

犬や猫など多くのペットの寿命は人間よりもはるかに短いものです。過去に大切なペットを老衰や病気などで失った経験がある人は決して少なくはないはず。ペットを飼っている以上、ペットとの死別は避けることができないテーマです。最期のときは家族が見守る中、せめて心安らかに迎えて欲しいと願う飼い主さんは多いのではないでしょうか。

しかし、残念ながら施設で最期のときを迎える動物はそうはいきません。たいていの場合、不安と苦痛の中で孤独に命を閉じるのです。

米国ペンシルバニア州フィラデルフィア在住のジャニーヌ・グイドにとってこうした悲しい状況は身近なものでした。路上生活を送る動物を救済する動物慈善団体Speranza Animal Rescueに勤務するジャニーヌは、動物を保護する施設側としても24時間体制で保護動物につきっきりで面倒をみることは不可能だということを十分に理解しています。実際にジャニーヌを含め団体職員は保護された動物の食事や医療、快適で衛生的な住環境を提供するだけで精一杯な状況です。

しかし、路上で保護されたピットブルの痩せ衰えた姿を見たジャニーヌは強く心を揺り動かされました。「ワトソン」と名付けられたピットブルは大人しい性格でしたが、これまで悲惨な生活を送っており深刻な病に冒されていました。

ワトソンは背中に腫瘍ができており、診断の結果厳しい現実が突きつけられます。すでに末期状態で手の施しようがなく、余命わずかだということが判明したのです。

おそらくもう数日ももたないことはジャニーヌの目にも明らかでした。ワトソンが夜の間に孤独に死を迎えることがないよう、ジェニーヌは毛布と枕を持ち込み一緒に夜を過ごすことにしました。

ワトソンを抱いて横になるジェニーヌ。ワトソンはホッとした様子で眠りに落ちました。翌朝、早く目を覚ましたジェニーヌは別れのときが迫っていることに気づきます。腕の中で静かに息を引きとるワトソンをジェニーヌは涙で見送りました。

悲しい物語ではありますが、ワトソンが最期のときを孤独に迎えることなく、ジェニーヌに見守られて旅立つことができたのは大きな救いとなったことでしょう。