ちえとくをフォローする

アンビリーバボー

体重は推定400キロ?!北海道を震撼させる超巨大ヒグマ「OSO18」その恐るべき実態

北海道に生息する日本最大の肉食獣、ヒグマ。北海道ではヒグマによる死傷者事故が毎年のように発生しており、2021年には4人がヒグマに襲われ命を落としています。

ヒグマによる獣害事件といえば、国内史上最悪の被害を出した三毛別羆事件があまりにも有名です。1915年、体重340kg、体長2,7mの7〜8歳の雄のヒグマによって2日間で開拓民7名が死亡、3名が重傷を負ったこの凄惨な事件は、発生から100年以上を経た今日も1頭のヒグマが起こした恐ろしい熊害事件として語り継がれています。

↓こちらは三毛別羆事件復元現地に再現された巨羆の姿

毎年後を絶たないヒグマによる被害。

北海道では人と熊が棲み分けた状態で共存を図り、狩猟を除き、人間の生活を脅かさない限りはヒグマを駆除しない方針をとっています。

しかし、軽率な観光客によって餌付けされたヒグマも多く、近年は人里だけでなく、緑地化計画により自然が復元された市街地にまで出没する個体も増え問題視されています。電気柵の設置を推奨するなど対策はとられているものの、一度人里近くに現れたヒグマはまた戻ってきて危害を加える恐れがあるため、駆除せざるをえないのが現状です。

捕獲したヒグマを施設で保護しようとしても、受け入れられる施設は少なく、あったとしても野生のヒグマは飼育環境には馴染まず、ヒグマは知らない個体を排除しようとする習性があるため、(保護した野生のヒグマが)施設で群れに殺されてしまうリスクが高いそうです。

放牧中の家畜が襲われる被害も多く、環境省の統計によると2018年度には827頭、2019年には711頭のヒグマが捕殺されています。放牧場や里山、市街地を餌場と認識したヒグマにより住民が襲われる恐れもあるため、人間の生活圏内に出没した個体に対しては、更なる被害が拡大する前に対処することが重要だとされています。

地元を震撼させる超巨大ヒグマ「OSO(オソ)18」

しかし現在、ある1頭の巨大なヒグマが北海道南東部で甚大な被害を及ぼしています。

「OSO(オソ)18」コードネームで呼ばれる雄のヒグマです。

北海道庁の釧路総合振興局は被害を出している各個体にコードネームをつけており、最初にこの個体による被害が出た標茶町オソツベツの地名と、現場に残された足跡の横幅が18cmであったことからこのコードネームが名づけらました。

OSO18は2019年7月から、北海道の南東部に位置する標茶町と厚岸町の牧場の放牧地内に侵入しては牛を襲い続けており、これまでに57頭が襲われ負傷、そのうち26頭が死亡するという深刻な被害を出しています。

超巨体、そして桁外れの怪力

推定体重400キロ、立ち上がって手を上げると高さ3メートルにも達すると言われており、規格外の大きさの巨大ヒグマです。前述の「三毛別羆事件」で甚大な被害を出した「穴もたず」(巨大すぎて冬眠のための穴に入ることができなかった)のヒグマが体重340kg、体長2,7mであったことを考慮しても、OSO18が常識を覆す巨体であることが伺えます。

北海道に生息するエゾヒグマの平均体長はオスが約1,9〜2,3メートル、メスが約1,6〜1,8メートル。平均体重はオス約200kg、メスが約150kgであること踏まえれば、破格の大きさと言ってよいでしょう。

2021年8月には厚岸町の牧場で体重200キロ近くある牛が襲われ、背骨を折られ、身体を真っ二つに引き裂かれた状態で発見されました。

ヒグマの力は強く、腕の一振りで馬の首を折るほどと言われていますが、大きな牛を引き裂くほどのOSO18の桁外れの怪力にヒグマの生態に詳しい牧場関係者の間にも衝撃が走っています。

最初に被害が出た標茶町では2019年から被害現場に猟友会員を派遣し、OSO18の捜索に乗り出してはいますが、捕獲することはできず、翌2020年にも被害は続出。2021年には隣接する厚岸町の放牧地でも被害が報告されるなど、OSO18による被害は広がる一方です。

今年7月1日には標茶町で放牧中の牛3頭がヒグマに襲われる被害が出ており、そのうち2頭が死亡しています。付近に残された幅18センチほどの足跡から、関係者はOSO18による被害とみています。

罠にかからない恐るべき用心深さ

通常、被害を及ぼすヒグマ対策としては、ヒグマが獲物を仕留めた場所に戻って来る習性を利用し、被害現場付近に「箱わな」を仕掛けて捕獲する方法が一般的です。しかし、OSO18は非常に用心深く、この方法は通用しません。

これまでに多くの被害を及ぼしているにもかかわらず、一度も人による目撃例が報告されておらず、監視カメラがその姿を捉えたのも一度だけ。

(↓撮影されたOSO18の姿。記事内の他のヒグマはイメージ画像です)

twitter.com/毎日新聞北海道報道部

日中はどこかに潜んでいて決して姿を見せず、駆除のための銃器を使えなくなる夜になると人知れず行動を始めるのです。誰にも目撃されずに行動することから我々は『忍者』とも呼んでいます。」と厚岸町水産農政課職員で町営牧場長を務める櫻井唯博氏は週刊現代で語っています。

箱わなを被害現場付近に複数仕掛けるも、かかる気配は一向になし。

おそらく、OSO18は幼少期に母グマか兄弟が箱わなにかかったのを近くで目撃しており、経験から箱わなの危険性を知り避けているのでは、と関係者は考えています。

また、通常のヒグマのように一度餌を手に入れた場所に味を占めて何度も戻って来ることはなく、次はどの放牧場に現れるのか全く予想ができない状態です。

牛を襲うのは捕食以外の目的?指摘される猟奇的な傾向

OSO18は襲った牛の肉や内臓を少しだけ食べ、残していくため、獲物を食べる目的ではなく、なぶり殺すために襲っているのでは、その猟奇的な行動を指摘する声も上がっています。

地元猟友会のハンターもOSO18の猟奇性を指摘しており、「通常のヒグマとは違う」と先読みのできないOSO18の行動に危機感を抱いています。

神出鬼没で牧場の放牧地内に現れ、牛を襲うOSO18。出没地域では被害を恐れ、放牧ができなくなるだけでなく、牛舎内での飼育が続くと繁殖させて頭数を増やすことも困難になるため、乳牛の搾乳効率が下がるなど、農場経営にも大きな影響が出ています。

これまでにOSO18による放牧牛襲撃により、標茶町では約7000万円、厚岸町でも約1600万円もの損失が生じているそうです。地元の牧場主の中には、自分の代で牧場をたたむ決心をした牧場主おり、OSO18により地元の酪農産業が深刻な打撃を受けていることが伺えます。

神出鬼没で移動経路が掴めないため、監視カメラを増設し、またヒグマが避ける電柵を放牧地に増設する対策が進められています。OSO18による被害は例年7月から9月に集中していため、初夏までに駆除が出来なければ、更なる被害の拡大が懸念されています。

日中は決して姿を見せないOSO18ですが、襲われた母牛の死体を牧場主が見つけ通報するために現場を離れた隙に、そばにいた仔牛を襲いさらうという大胆不敵な行動もとっています。放牧場に潜み、近くから牧場主の様子をじっと窺っていたのでしょう。

「どこかに潜んでいるOSO18に見られているのではないか…常にそう思いながら牧場作業をしなければいけなくなりました。人手も少なく、銃も持っていない私には、牛どころか、自分の身を守ることすら困難な状況です」とこの牧場主は語っています。

「OSO18の被害が出るようになってからは、住民の間でも日没までには必ず家に帰らないといけないという認識が広がっています。1頭のヒグマによって、地域の生活全体が変わってしまったのです」と、標茶町の牧場付近に住む住民は不安を口にしています。

住民の暮らしを大きく脅かすOSO18。たった1頭のヒグマによって地域全体が緊張に包まれています。

・きっかけは観光客が何気なく投げ与えたソーセージ。餌付けされたヒグマの悲劇を紹介する記事、「ソーセージの悲しい最期」何気ない餌やりが野生動物・自然に及ぼす危険も是非ご覧ください。

・世界の獣害事件、300人以上が犠牲に?!…世界最強の人食い巨大ワニ「ギュスターブ」もぜひどうぞ。

出典: gendai.ismedia.jp, gendai.ismedia.jp

プレビュー画像: ©︎pinterest/keterry.tumblr.com