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【え?今なんて言った?!】ドイツハンドボール五輪代表チームが円陣を組んで発した「日本語」 聞いた瞬間思わず耳を疑った

東京オリンピックが開幕し早くも1週間が経過。日本代表の連日のメダル獲得ラッシュに沸く一方で、海外選手たちの活躍にも大いに注目が集まっています。

世界の一流アスリートたちの競技はもちろん、彼らが競技場で見せる素顔や真摯に努力する姿を垣間見ることができることもオリンピックの醍醐味の一つ。

そんな中、ドイツ男子ハンドボール代表チームのある「掛け声」がちょっとした話題となっています。一体、どのような掛け声なのでしょうか…こちらで実際に聞いてみましょう。

※ 動画をクリックしてお聞きください ↓

え?「ガンバロー!」??

確かに、「ガンバロー!」と言っています。

ドイツ代表のキャプテンであるウーヴェ・ゲンスハイマーが「頑張ろう!」と叫びチームが「ドイチュラント!(ドイツ語で『ドイツ』の意味)」と声を合わせて返すこの掛け声。ドイツ代表チームからまさか「頑張ろう!」の日本語の掛け声が聞けるなんて…嬉しいけれどなんとも意表を突かれる掛け声です。

でも、なぜ敢えて日本語の「頑張ろう!」なのでしょうか? 実はこの掛け声、ドイツ代表チームが2018年のJAPAN CUP 徳島大会で滞在していた際に生まれたものなのです。

日本語の「頑張る」という言葉には「最善を尽くすよう努力する」というニュアンスが含まれおり、シンプルでモチベーションを高めるスローガンにピッタリだということから、2018年に徳島県での親善試合の中で誕生したこの掛け声は、それ以降もドイツチームの掛け声として使われているのです。

2019年に開催された世界男子ハンドボール選手権でも、「頑張ろう!ドイチュラント!」の気合の入った掛け声でチーム内の士気を高めています。

ハンドボール・ドイツ代表チームの新しいスローガンとしてすっかり定着した「頑張ろう!」の掛け声が生まれた徳島県ですが、実はドイツとはゆかりの深い地だということはあまり知られてはいません。

第1次世界大戦中、捕虜となったドイツ兵約4600人のうち約1000人が徳島県鳴門市郊外の板東俘虜収容所に収容されました。

捕虜を犯罪者のように扱うことを固く禁じた所長の方針により、板東俘虜収容所での彼らの暮らしは比較的自由で、文化・芸術活動が認められており、文化的活動が活発に行われていました。

日本語教室や芸術活動、各種スポーツを楽しむ捕虜と収容所近辺に住んでいた日本人との交流も盛んで、市民はドイツ兵捕虜を「ドイツさん」と、親しみを込めて呼んでいました。

現在、日本で年末の恒例となっている「第九」が日本で初めて演奏されたのもこの地です。1918年6月1日には、収容所で結成されたヘルマン・ハイゼン楽団によって、ベートーヴェンの交響曲第九番が合唱付きで全曲演奏されました。

終戦後、解放されドイツに帰国してからも板東俘虜収容所の元捕虜仲間で「バンドウを偲ぶ会」が何十年も催されており、1972年に鳴門市ドイツ館が開館した際には元ドイツ兵捕虜たちから当時の写真や手紙が多く寄せらました。

ドイツ男子ハンドボール代表チームが東京オリンピックに出場に向けた最終調整の地に選んだのも徳島県鳴門市。7月15日に事前キャンプのため徳島県入りをしています。

 
オリンピックでのハンドボール競技はトーナメント戦でリーグに別れた予選を勝ち抜いた、上位4チームが決勝トーナメントへ進出しメダルを争います。
これまでアルゼンチンに1勝したものの、強豪国のスペインとフランスに僅差で敗れ、残り2試合(7月30日21:30、8月1日19:30)が決勝トーナメントへ進む重要な試合となるドイツ代表。
是非、「頑張ろう!ドイチュラント!」の掛け声をコートに響かせ、勝ち進んでほしいですね。

ハンドボールといえば日本では競技人口も少なく、野球やバスケ、サッカーのようなメジャーな球技に比べてスポーツな印象がありますが、ヨーロッパではプロリーグもあるほどに人気のメジャースポーツ。ドイツにもハンドボール・ブンデスリーガと呼ばれるプロリーグがあります。

「サッカーとバスケットボールの中間のスポーツ」と言われるように、激しい身体接触とスピード感溢れるプレイが魅力のハンドボール。

これまで試合を見たことがない方は、世界の一流選手が集うオリンピックのこの機会、是非注目して見てはいかがでしょうか。

 

プレビュー画像: ©️twitter.com/キャンプ情報板