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ジーンとくる話

雪の中、女の子は愛犬に背負わせたリュックサックのベルトを締めた…リュックサックの中を見た兄は絶句。

トルコ黒海地方のリゼ県に暮らすHamdü Sena Bilgin(11歳)の家族は小さな牧畜業を営んでおり、ヤギを飼育しています。

家業を助けるため、羊飼いとしてヤギの放牧の手伝いをしているHamdü。忠実な牧羊犬「トミ」とともにヤギの群れを率いています。ときには羊たちの餌となる良い草場を求めて、羊たちと野山を何時間も歩き回ることも。

寒さの厳しいある冬の日、家から遠く離れた山間部を羊たちと歩いていると、一頭のヤギが突然産気づきます。羊飼いの経験から、Hamdüは産後の母ヤギと子ヤギが家までの長距離を歩くことはできないということを知っていました。

生まれて間もない子ヤギのためにも迅速に対応しなければいけません。そこで、Hamdüは急いでヤギの群れを率いて温かい家畜小屋に連れ帰ると、普段は学校の教科書を入れているリュックサックを二つ手に取り、トミと一緒に大急ぎで母ヤギと子ヤギのもとへと戻りました。

そして注意深く、子ヤギをリュックサックに入れると、トミの背中に背負わせました。

「トミはとても利口な、良い犬なんです」と嬉しそうに話すHamdü。

トミにとっては初めて背負うリュックサックです。子ヤギが落ちることのないよう、Hamdüはしっかりとショルダーベルトを締めました。

もう一つのリュックサックに入れた母ヤギをHamdüが背負い、膝まで埋もれる新雪の中を一行は帰途に就きます。

「深い雪に足を取られて、歩くのも大変で疲れました。でも、頑張った甲斐はありました」とHamdüは当時を振り返ります。

家の近くまで辿り着いたHamdüたちに気づいた兄は、妹の奮闘ぶりにビックリ!その勇姿を写真に収めました。こうして小さな羊飼いの気転のおかげで、母ヤギと子ヤギは無事に安全な家畜小屋に帰ることができたのでした。

Hamdüがいかにヤギ一頭一頭を大切にしているかが伝わるエピソードです。11歳にして群れを率いる羊飼いとしての責任をしっかり果たしているHamdü。的確な判断力と迅速な行動力のお陰で無事に母ヤギと子ヤギの命は救われました。それにしても、お見事!