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勇気をくれる

ウェイトレスの勇気と機転が虐待された子どもを救う

あの子どもはもしかして虐待を受けている?そんな疑いが濃厚になったとき、皆さんならどう行動しますか?

非常に難しい状況ですが、どんな状況であってもやってはいけないことが一つあります。それは、目をそらし、「私には関係ない」と見て見ぬ振りをすること。

でも、万が一自分の勘違いだったら・・・という不安もありますよね。しかも、加害者らしき大人が子どもの近くで目を光らせているような場合には、本当に虐待なのかを確認することすら難しいもの。

米国のウェイトレス、フラビアン・カルヴァーリョは、素晴らしい機転をきかせ、目の前の子どもが助けを求めているのかどうかを確かめ、子どもを虐待から救いました。

ある一家に感じた違和感

事件の舞台はフロリダ州オーランドにあるレストラン「ミセス・ポテト」。フラビアンはここで働くウェイトレスです。

その日、両親と2人の男の子の4人家族がテーブルに座っていました。フラビアンはその一家のテーブルの前を通り過ぎたとき、ある違和感に気がつきました。

両親と弟らしき少年は食べ物や飲み物を受け取って食事をしていましたが、もう1人のお兄ちゃんだけが何も受け取っていなかったのです。その子は家族から少し離れてポツンと座っています。よく見ると、少年の顔や腕には目に見えるあざや傷がありました。

少年の様子が明らかにおかしいと感じたフラビアン。「何かしなければー」そう思いましたが、両親に怪しまれないように少年に接触するにはどうすればいいのでしょう。もしフラヴィアンがこの子を心配していることを知れば、きっと親は子どもを連れてレストランを出て行ってしまうにちがいありません。

紙に書いたメッセージ

フラビアンはノートに 「Are you OK? (だいじょうぶ?)」と書き、両親の背後に立って、男の子と目を合わせて、その紙が見えるようにかざしました。

少年は質問を読み、無言でうなずきます。

フラビアンは2枚目の紙に今度は「Do you need help? (助けが必要?)」と書きました。彼女がまたノートを広げると、少年はそのメッセージを読み、また無言で頷きます。やはり、フラビアンの疑念は正しかったのです。

少年の両親はこのことに全く気づいていません。

フラビアンはすぐに上司のところへ行き、事情を説明。二人はすぐに警察に通報しました。

到着した警察は、少年を脇に連れて行き、優しく質問をします。11歳の彼は継父から酷い暴力をうけており、罰として食事を与えられていませんでした。36歳の継父はその場で逮捕されました。

ひどい虐待

少年は近くの病院へ運ばれました。少年の全身にはひどい打撲の跡があり、栄養失調で体重は標準よりも10キロ少ないことも分かりました。

数日後、虐待を知っていて見過ごしていた母親も「ネグレクト」の罪で逮捕されました。継父はその後、深刻な児童虐待とその他多くの犯罪で有罪となりました。11歳の少年ともう1人の4歳の子どもは児童家庭サービスに保護されたそうです。

オーランド警察署長エリン・ロウラーは「彼女は少年の命を救った」とフラビアンの勇気を称賛しています。「彼女が少年の状況を見たときに行動しなかったら、この小さな男の子はおそらくこの世に長くはいられなかったでしょう」

警察によると、少年に対する継父の暴力はすさまじく、虐待という言葉では軽すぎるほどの拷問だったといいます。

「困っている人に注意を払って、状況を変えるために何かをするのは当然のことです」と、フラビアンは謙虚に語っています。勇気ある彼女の言葉には重みがあります。彼女が素早く行動をとらず、自分には関係ないことだと見て見ぬ振りをしていたら、11歳の少年はいまも暴力を受け続けていたのですから。

出典:edition
プレビュー画像: © Facebook/Flaviane Pimenta Carvalho