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ミステリー

少年たちが埋められた車を発見、警察は犯罪を明らかにした

自宅の庭や敷地内の珍発見といえば、古銭や失くしたはずの結婚指輪、化石…などなど。しかし、1970年代末にある2人の少年が裏庭で発見したあるものは群を抜いて異例の拾得物でした。

1978年、ロサンゼルス郊外の家にある家族が引っ越してきます。ある日、庭で宝探しごっこをしていた夫婦の2人の息子たちが庭に穴を掘ると、何か硬いものに当たりました。

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さらに掘り進めていくと、少年の前に夢のお宝が姿を現しました。雑草と土の下に車らしきものが陽の光を浴びて出てきたのです。

早速、拾得物を両親に見せると、もちろん両親は驚愕し直ちに警察に通報。

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こうして車体が完全に掘り出されると、車内には衣類やタオルが詰まっていることが判明しました。捜査関係者に緊張が走ります。もしや….布地の間に遺体が隠されているのでは?

幸いにも地中の穴から持ち上げられた車にはそうした痕跡はありませんでした。土砂によってにザラついた塗装の汚れを差し引いても車種は一目瞭然でした。ほぼ新車同然の1974年製フェラーリ・ディーノ246GTSだったのです。車が埋まっていた場所は元はプールであったことが明らかになりました。しかし、一体誰がどうしてこのスポーツカーをここまで運んできたのかは依然謎に包まれたまま。

捜査を進めるうちに警察は、これはある夫婦がレストランで食事中に盗難された車だという記録を探し当てます。

犯人は盗んだ車を一旦隠し、ほとぼりが冷めてから回収しようとしていたのではないかと警察は疑いました。1978年に掘り出されるまで誰にも気づかれることなく、まんまと地中に隠されていた状況から見てもその可能性は十分でした。

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問題の車が盗まれた当時、自動車保険会社は盗難被害者である車の所有者夫妻に保険金を支払っていたため、発見された車は競売にかけられます。

かくしてブラッド・ハワードなる人物がフェラーリの新たな所有者となったのです。ブラッドはこのいわくつきのフェラーリ・ディーノを約9,000ドル(2018年1月現在、約100万円)というフェラーリにしては当時でも破格の超安値で買い取ったのでした。

「ディーノのような車がずっと欲しかったんだ。速いだけじゃなく運転もしやすいからね」とブラッド。

ブラッドはこの車の過去を気にとめることなく購入し、メカニック修理を経てフェラーリを元どおりの状態に戻しました。車体の外装ダメージを修復し、数年間の「埋葬」状態にもかかわらず最小の損傷で済んだエンジンを改良したのです。これだけでも十分にありえない話なのですが、さらに数年後、物語は新たな展開を見せます。

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歴代のフェラーリ・ディーノについて特集を組んだある雑誌編集者がブラッドにコンタクトを取ってきたのです。

ブラッドはフェラーリを所有するに至る経緯を語りましたが、過去の盗難犯罪被害の事件は未だに未解決のままでした。編集者たちが根気よく独自に調査を続けた結果、このフェラーリ・ディーノの不可解な過去に関する詳細がさらに浮かび上がってきます。

実は警察の推測とは異なる事実が隠されていたのです。盗難当時、所有者夫妻は破産同然でフェラーリのような高級車を維持できるような状態では到底なかったことが判明したのです。

「ありがちな話ですよ。愛車を気にいるあまり、身の丈に合わなくなっても手放したくなかったのでしょう」と編集者は状況を説明します。

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そこで所有者夫妻はフェラーリを水の空いたプールに駐車し土で埋めることにしたのです。車を確保したまま保険金を手に入れるためでした。まんまと保険金を受け取ることに成功した夫婦でしたが、なぜ愛車を地中に隠したままにしていたのか、夫妻はその後どうなったのかは未だ不明のままです。

こちらの動画から物語の詳細を視聴できます(英語音声のみ):

嘘のような本当の話。子供の宝探しに端を発した驚愕の物語です。無邪気な子供の遊びからこんなまさかの展開に発展しようとは….とはいえ、夢のスーパーカーを棚ぼた状態で手に入れる千載一遇のチャンスをものにしたブラッド・ハワードにしてみれば、なんとも有難い事件なのかもしません。