ジーンとくる話
生きたままご飯の1品になるところを救い、ペットにした女性。
国や地域ごとに文化や習慣が異なるように、食文化も様々です。ノルウェーや日本の鯨食文化や韓国・中国の犬食文化など、一方的な視点からだけで判断し非難することは難しいものもあります。東南アジアでは孵化直前のアヒル卵を食す「バロット」という食文化が根付いています。
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バロットとは卵の中で胚から雛へと発育中の有精卵を、中の生きた雛ごと茹でて食す食文化です。フィリピンやベトナムを始めとする東南アジアの広い地域や中国南部などで見ることができます。
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特にベトナムでは19日目の卵がもっとも美味であるとして好まれるそうです。孵化直前まで成長しているため、くちばしや羽毛が既に形成されています。バロットの食文化のない多くの国々では、卵から孵化する直前の雛を食すことが残酷であると受け止められがちであるのも事実です。
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マレーシアの首都クアラルンプールに暮らすエリカ・リム(39歳)もバロットの食文化に対して批判的な考えを抱いていました。ある日、クアラルンプール南東のプチョンのレストランでバロットを2卵、購入したエリカ。調理して食べるためではありません。エリカの目的は別の方法でバロットを「楽しむ」ことでした。
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エリカは自宅で雛を孵化させることにしたのです。保温性の高い発泡スチロールの箱に卵を入れ、放熱器で卵を温めました。
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そして待つこと2週間…待ちに待ったその時がやってきました。アヒルの雛が1羽、無事に卵から孵化したのです。エリカが「アヒルのお母さん」になった瞬間でした。エリカは雛にデイジーと名付け、後にビビットと改名しました。
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他のペット同様、ビビットはエリカ宅ですくすく成長しました。ときには公園の池にでかけたり、またときにはお風呂の浴槽で水遊びをしたり…
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まだ小さい雛の頃はタッパーの中で水遊びをすることもできました。
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映画館やIKEAに買い物に行くのも一緒です。
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ビビットは25時間おきに卵を産みます。命を救ってくれたお礼なのでしょうか? エリカは卵を家族や友達にあげているとか。
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2017年7月23日からエリカはビビットが卵から成長する姿をInstagramで公開しています。一風変わったペットを連れたエリカ、出かけるたびにビビットは注目の的だとか。
こちらは食用卵としてビビットが売られていたレストランでの一コマです。
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卵から孵化する前に食べられてしまう運命にあったビビットを救い出したエリカ。立派なアヒルに成長したビビットの姿から、魚や肉類など、私たちが日々口にする食べ物が元は命ある生き物であったということを改めて実感することができます。
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「ビビットは素晴らしいパートナーです。可愛らしく、思いやり深い優しい子です。アヒルをペットにすることの歓びをより多くの人にしってもらえたら、と思います」とエリカ。
特定の食文化を一方的な価値観から判断し非難することについては是非が問われるところですが、エリカのように別の方法で意思表示することで新たな展望が開けることもあるかもしれません。それにしても、可愛いペットですね。