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勇気をくれる

自分にそっくりな登場人物を見つけてハッピーな2歳の少年が話題

今、アメリカで、母親が投稿したある2歳の男の子の写真が大きな話題を呼んでいます。

2歳のケンゾー・ブルックスくんは、自宅で家族と一緒に、映画を観ていました。映画のタイトルは、「ミラベルと魔法だらけの家」…ディズニーの新作アニメーション映画です。

南米・コロンビア奥地の町「エンカント」を舞台にして繰り広げられるファンタジー色豊かなこの作品ですが、ケンゾーくん、「アッ」とあることに気づいて画面を指差し、大興奮し始めたのです。

お母さんであるカヘイシャさんは、その瞬間をスマホで撮影し、Instagramに投稿したところ、アメリカ中から大きな反響が寄せられたのです。

実際にその投稿をご覧ください!

※画像はスライドしてご覧いただけます

なんということでしょう!

ケンゾーくんの隣、画面に映っているそのキャラクター…ケンゾーくんの生写しのように、そっくりではないですか!!

このキャラクターは、劇中に登場するアントニオ。主人公ミラベルのいとこで、どんな動物ともコミュニケーションを取ることができるという不思議な力の持ち主です。

ケンゾーくん、自分そっくりの素敵なキャラクターの登場に大興奮。「これ、僕だ!」と言って、ウキウキな気分でその日一日を過ごしたと言います。

このあまりにも可愛らしい男の子の姿に、アメリカ中の人々が心を溶かされ、「可愛い坊や!」「自分のそっくりさんを見つけられて、よかったね!」と言ったようなコメントが多く寄せられたことは想像に難くありません。

そんな可愛い瞬間を捉えたこの写真ですが、実は「可愛い」以上の意味があるということを、ケンゾーくんの両親は感じとったようです。

取材に応じたケンゾーくんの両親はテレビのインタビューで、こう語っています。

「とてもエモーショナルな気分になりました。私たちの世代には、アントニオのようなキャラクターは身近にいませんでしたから…」

そう、ケンゾーくんが自分に似たキャラクターを発見できたことは、実は可愛い以上の意味があります。

残念なことではありますが、現在に至るまで、アメリカの映画界は白人主導の傾向が強く、有色人種が主要な登場人物として描かれることはあまり多くはありませんでした。

有色人種が登場したとしても、脇役だったり、好意的に描かれていなかったり、偏見に満ち溢れた描写だったり…そんなものを見せつけられて、多くの有色人種の人々は肩を落とし、自信を削られてきた歴史があります。これは、ハリウッドの映画の中によく出てくるおかしな日本人像を何度も目にしてきた、私たちにも同じようなことが言えるでしょう。

ですから、ケンゾーくんが、自分自身の姿を重ねて、「僕もこんな風になりたい!」とそう思えるようなキャラクターが生み出されるようになってきた、というのは実はとてもすごいことなのです。

両親は、はしゃぐケンゾーくんの姿を見て、「時代が変わったんだなぁ」という感慨深い思いに駆られたに違いありません。

(映画「ミラベルと魔法だらけの家」)

人種などの問題は、日本人にとってはあまり身近ではないかもしれません。しかし世界では今、このようにどんな人種も置き去りにしない「インクルーシブ」な映画を作るべきだという動きが大きな広がりを見せています。

近年では、アフリカ系だけをフィーチャーした「ブラックパンサー」や、アジア系だけを主役に据えた「シャン・チー/テン・リングスの伝説」が大ヒットしたことで、今まで「マイノリティ」と呼ばれてきた人たちが主演のヒーロー映画も多くの人が観たがっているという事実が周知のものとなりました。

子供たちがこんな映画を見て、自分の出自に強く自信を持って成長していってくれることを願ってやみません。

プレビュー画像: ©Instagram/katchingupwithkenzo