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末期がんと闘う幼馴染との愛情あふれる結婚式

アイルランドに住むジェイク・コーツとエミリー・コレットは、11歳の頃から仲の良い幼馴染として一緒の時を過ごしてきました。やがてお互いに恋愛感情を抱くようになった2人は、16歳の頃には自然と付き合うようになりました。しかし、その3年後2人が離れ離れの大学に進学することを決めたとき、彼らに残されていた選択肢は別れしかありませんでした。距離を置くことになったにも関わらず2人の心の中には常に相手を想う気持ちがありましたが、彼らが自らの気持ちに気づくのはそれからかなりの年月が経ってからでした。

やがて10年の月日が流れました。当時別々の国に住んでいながらもお互いに対する気持ちに気づいた2人は、遠距離ではあるものの恋人としての関係を新たに始めることを決断します。とはいえ彼らは頻繁にお互いの街を訪ねあっており、2016年には2人でフィリピンへも旅行に出かけたそうです。この旅でジェイクはあるロマンチックなサプライズを計画していました。彼は一生を共にする伴侶として、エミリーにプロポーズしようと考えていたのです。しかし、そんな彼のプランはある出来事によってすべて崩壊することになってしまいます。

ある日、エミリーは突然体調を崩し、地元の病院へ緊急入院することになりました。しかし検査の後、2人は医師から予想もしていなかった宣告を受けることになります。エミリーに甲状腺のがんが見つかり、しかもそれが体内の様々な臓器に転移していることが発覚したのです。医師によると彼女のがんの状態はいわゆる末期の状態にまで進行しており、もはや手の施しようもないということでした。

この宣告を受けたジェイクは、すぐに旅行のスケジュールをすべてキャンセルし、彼女の元にいようと決心します。エミリーを絶対に一人にはさせたくない、そう考えたのです。そしてエミリーは、この衝撃的な宣告を受けた直後、このような文章をFacebookに公開しています。 

「今回私はあることを学んだわ。それは、11歳の頃から好きだった私のボーイフレンドが、私に対して決して嘘をつかないということ。今週わかった私の身体に起こっている恐ろしい問題に関してでさえ、彼は私に包み隠さずすべてを伝えてくれた。彼は私に、私の残りの人生をずっと一緒にいてくれると言ってくれたの。彼のおかげで私は愛と幸せに満たされた感情を知ることができたわ。私、きっと世界で一番幸せな女の子よね!」

ジェイクは帰国後、エミリーが末期がんであるという状況にもかかわらず彼女にプロポーズを果たし、美しい記憶としてずっと残すため盛大な結婚式を開催することを決めます。日に日に体調が悪化していくにもかかわらず、式のことを話す時だけはエミリーは幸せそうな笑顔を見せ、最期の瞬間まで人生を生き抜きたいという意志が周囲にもひしひしと伝わるほどでした。

結婚式を挙げる費用を集めようと考えた彼らは、「タンデモニウム」というアクティビティに参加することにしました。これは、イギリス・ロンドンからデンマーク・コペンハーゲンまでのおよそ2000キロの道のりを自転車で旅をしながらスポンサーを募るというものです。今回彼らはこの旅を計画するにあたって、「The Royal Marsden Cancer Charity」というがん撲滅のための組織にスポンサーとなってもらいました。病の進行とともに体力的にもどんどんと厳しくなっていったというエミリーでしたが、それでも自分と同じようにがんという病気と闘い続けている多くの患者のために力を振り絞って走り続けたそうです。

そして、かれらのタンデモニウムは無事に成功しました!最終的に彼らがこの旅を通じて集めることのできた募金は、結果的に彼らが当初予想していた金額を大幅に上回ったそうです。そして2016年9月、2人は盛大な結婚式を開催しました。式には家族や友人などが多く招かれ、誰もが幸せな時間を過ごしました。新郎新婦も、とても美しいですよね!

この式のわずか1か月後、エミリーは残念ながら病によりこの世を去りました。享年わずか31歳という若さでした。1人残されることになったジェイクもまた人生で最もつらい時期を迎えることになりましたが、彼はそれでも愛するエミリーとの記憶をネットに共有することで、彼女と過ごした大切な日々を心に刻みつける日々を送っているそうです。「エミリーは本当に素晴らしい女性だった。勇気があり、強い意志を持ち、美しさと愛情を兼ね備えた人だった。本当に、100万人に一人の女性だったと思うよ」彼はFacebookにこう綴っています。

エミリーはきっとジェイクたちの心の中にいつまでも生き続けていくことでしょう。そして、彼女と同じようにがんと闘っている世界中の人々にとっても、彼女は勇気を届けてくれた大切な存在であったに違いありません。これからジェイクが彼女の分も精一杯生きて行くことを願うばかりです。