ちえとくをフォローする

人気の記事

【エルパソの悲劇】銃撃から赤ちゃんを守るため、母親は自ら盾となった

コロンバイン高校銃乱射事件(1999年)、ノルウェー連続テロ事件(2011年)などの銃乱射による卑劣な無差別攻撃は予測不可能です。また、残念ながらこうした残虐な事件は後を絶ちません。

米国テキサス州エルパソの商業施設で8月3日またしても悲劇が起こりました。地元のショッピングモール、ウォルマートで週末のショッピングを楽しんでいた買い物客が銃撃を受け、20人が命を落とし、26人が負傷する乱射事件が発生したのです。容疑者のパトリック・クルシウス(21歳)の銃弾を受けた犠牲者の一人、3児の母ジョーダン・アンチョンドは事件当時、犠牲者となった夫アンドレと生後2ヵ月の息子と買い物中でした。

自動小銃を向けられたジョーダンは身を挺して息子を守ろうとしました。息子は骨折したものの母親が盾となり複数の銃弾から救ってくれたおかげで命拾いしました。この銃撃によりジョーダンと夫は亡くなり、まだ赤ちゃんの息子と二人の娘が残されました。

パトリック・クルシウス容疑者は駆け付けた警察によってその場で逮捕されました。現在の段階では、ヒスパニック系移民を標的にした憎悪犯罪(ヘイトクライム)の可能性が高いと考えられています。また、捜査当局は犯行前に憎悪に満ちた反移民マニフェストのメッセージをオンライン掲示板に匿名投稿した人物と同一人物であるとして捜査を進めています。

事件を受け、テキサス州のアボット知事は、「私たちは州一丸となって、被害者とその家族を支える。私たちは地道にやるべきことを実践し続けていかなければならない。私たちは今こそ団結しなくてはならない」と語っています。

トランプ大統領はヘイトクライムによる大量殺人事件に対し、犯人を迅速に死刑を下せるよう立法措置の検討を指示したとTwitterで明らかにました。しかし、犯人に極刑が下されたところで大切な家族の命を無残に奪われた遺族の心に安らぎが戻るというわけではありません。憎悪という根深い動機に端を発した今回の悲劇。こうした事件が二度と繰り返されることのないよう、根本的な対策が必要なのかもしれません。

事件により尊い命を失った犠牲者の冥福を祈るとともに、負傷された方の一日も早い回復を心から祈ります。