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トリビア

【ブランド糞尿まであった?!】身分によって特上から下等までランク分け!江戸時代の驚きの糞尿売買事情

江戸時代はエコな時代と言われていました。無駄なものなんて一切なかったエコな江戸時代の糞尿取引をご紹介します。

江戸時代はエコな時代

鎖国により資源の輸出入が無かった江戸時代、当時の日本は再利用可能なものは無駄なくリサイクルして徹底活用するのが当たり前なエコな循環型社会でした。

衣類や生活日用品などのリサイクルはもちろんのこと、「灰」を買い取る業者や燃え残った蝋燭の蝋を買い取る業者までいました。

排泄物だって、もちろんエコ活用!

もちろん、排泄物は肥料として利用されていました。現代ではお金をかけて処分する排泄物ですが、江戸時代は田畑の土壌を豊かにする貴重な肥料として重宝されており、近隣の農家や行商人が金銭や野菜などと引き換えにトイレに汲み取りに来るなどしていたのです。

↓排泄物と大根を交換する行商人

また、肥桶をかついで排泄物を買取回収する「下肥買い(しもごえがい)」といううんこリサイクル業者もいました。一度に多くの糞尿を回収して回る下肥買いが来ると、周囲はかなり臭かったそうです。

下の画像は排泄物入りの肥桶を抱え、こぼしながら歩く下肥買い。町人に臭がられていますが、排泄物がたっぷり入った肥桶はかなり重かったはず。なかなかの力仕事です。

江戸の庶民が暮らした長屋のトイレは男女共用の共同トイレで「惣後架」と呼ばれていました。右側の雪隠トイレとは異なり、左側の惣後架トイレはドアの上半分がないので上から丸見え状態。しゃがんでウンコしているのが丸わかりなプライバシーゼロ構造でした。

江戸庶民が暮らしていた賃貸住宅「長屋」では、住んでいる住人の排泄物は大家に所有権があり、排泄物の引き取り代金は大家さんのものと決まっていました。

賃貸人一人当たりいくらという取り決めで業者から下肥料(排泄物回収代金)を受け取っており、大家さんにとって賃貸人の糞尿は大きな収入源でした。

お茶の無料サービス付きも?!江戸時代の公衆トイレ事情

江戸時代、京都や江戸には排泄物回収を目的に、無料の公衆便所である辻便所」が四辻(交差点)の木戸ごとに設置されていました。中には、休憩所付きでトイレ利用者には無料でお茶のサービス付きと、実に至れり尽くせりな豪華な公衆便所までありました。

この豪華公衆便所の年間運営費は500両(約4000万円)。かなり莫大な経費がかかっていましたが、排泄物を売ることで十分に利益が出ていたいそうです。年間の排泄物売買利益は4000万円以上…それを上回る下肥料とは、公衆便所はまさに「金のなる木」そのもの、糞尿は貴重な高額で売れる「商品」だったのです。

糞尿ですら身分によってランク分け!

人間、生きていれば誰しも出すウンコやオシッコ…しかし、厳しい身分制度が存在していた江戸時代では、こうした糞尿ですら身分によってランク分けされていました。

最高ランク「きんばん」

ランク分けされた糞尿の中で最も上のランク、特上とされたのが幕府や大名屋敷の勤番者の糞尿「きんばん」です。江戸の藩邸に勤める諸藩の家臣を勤番侍と呼んだことに由来していますが、江戸城から汲み取られる糞尿も当然、最高ランクのきんばんに属していました。

上ランク「辻肥(つじごえ)」

上ランクは「辻肥(つじごえ)」で、公衆便所(辻便所)から汲み取った糞尿でした。江戸の街を行き交うさまざまな身分の者が利用する公衆トイレの糞尿はなかなかの高ランク扱いでした。

中ランク「町肥(まちごえ)」

続いて中ランクは「町肥(まちごえ)」。長屋に暮らす江戸庶民たちが使う便所から汲み取られた糞尿です。

④最下ランク「たれこみ」「お屋敷」

そして最下位の下等ランクとされたのが「たれこみ」で、糞の量が少なく、尿が多く混じっているため、肥料としての価値が低い糞尿でした。また、牢獄や留置場の便所から汲み取られた犯罪人の糞尿も「お屋敷」と呼ばれ、最下位扱いされました。

ウンコまで出す者の身分によって容赦無く格差が!と扱いに驚いてしまいますが、当時は身分が高い者や、裕福な者は豊かな食生活を送っているため、糞尿も肥料として栄養価が高く利用価値も高いと考えられていたのです。

とはいえ、実際には江戸城大奥の糞尿には、女性たちの化粧品に使われている水銀や鉛などが混入していたため、田畑の作物への金属汚染のリスクが高く、高額買取の割には質は決してよいものとは言えなかったようです。

ちなみに買取価格は、江戸時代初期で中ランクの「町肥」の場合、樽一杯あたり約25文(約500円)、船1艘あたり約1両(約10万円)。なかなか悪くないお値段です。

糞尿買取ビジネスが確立し、重宝された時代、当然ながら道端に落ちている馬糞も農家の子どもたちが拾って肥料として利用していました。

今でこそ忌み嫌われている糞尿ですが、現代のように化学肥料がなかった江戸時代には貴重な肥料として高値取引される価値あるものだったのです。

それにしても糞尿にまで出どころによって厳しくランク分けされており、最高ランクから下等まで、商品価値が違うなんて、現代の感覚からみると驚いてしまいます。

出典: edojidai.info

プレビュー画像: ©️ pinterest/edo-g.com