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少年たちは無理矢理、犬に危険ドラッグを食べさせた。飼い主が愛犬を見つけた時こんな姿になっていた。

英国王立動物虐待防止協会 (RSPCA) はイギリスの非営利団体です。各地にあるRSPCAセンターに連れてこられるのは、病気、怪我、迷い込んだ野生動物や、捨てられてしまったペットです。ケント州マーゲートにあるセンターに、チワワのミックス犬「チャンキー」が運ばれてきたのは昨年の2月のことでした。こんなひどいケースは見たことがありませんでした。まだ子犬のチャンキーは、4人のティーンエイジャーに誘拐されて拷問のような虐待を受けました。その晩、15〜16才の少年達はドラッグの影響下にあったといいます。

少年達は、チャンキーの首と足の骨を折り、顔に火をつけ、数時間に渡って小さな子犬を痛めつけながら、その姿を面白がって見ていたというのです。少年達は気が済むと、チャンキーの口の中にドラッグを押し込んでゴミ処理所近くに捨てていきました。

全身にひどい傷を負いながらもチャンキーは奇跡的に生きていました。RSPCAの調査員によってすぐさまセンターに運ばれ、獣医師の診察・治療を受けました。RSPCAで調査員として働くキャロライン・ドウは、次のように語っています。

「私が見たことのある中で一番ひどいケースだった。思い出すだけでも背筋がゾクゾクする。少年達はしたことを認めたけど、ドラッグの影響下にあったと弁解した。でも虐待の方法は極めて残虐だった。絶対に許されるべきじゃない」

チャンキーは、何日間も痛みに苦しまなくてはなりませんでした。全身に火傷を負い、首と足が折れたまま保護されるまでの数日間を1匹で彷徨っていたのです。

「初めてチャンキーを見つけたときの怯えて意気消沈した様子は忘れることができない。傷は重傷で、獣医からケアを受けた後も6日間は痛みに耐えなければならなかった」

やがて連絡を受けたチャンキーの飼い主がセンターに駆けつけます。飼い主は、心を痛めながらも再び愛犬との再会できたことを喜びました。

Youtube/ITV News

時間はかかりましたがチャンキーはその後、すっかり元気を取り戻しています。傷も癒え、幸いにも後遺症は残らず今は家に戻って暮らしています。また、あんなにひどいことを経験したにも関わらず、チャンキーが人間に対して強い警戒心・恐怖心を抱くことはありませんでした。持ち前の愛嬌と人懐っこさは、事件の前と変わらないと飼い主は言います。これは驚くべきことです。

「前よりも少し緊張していることが多いかもしれないけど、チャンキーはチャンキーだ。変わってないよ」

Youtube/ITV News

人にかまってもらえると、嬉しそうにしっぽを振りまくります。チャンキーを知る人たちは彼の回復を祝福しました。

元気なチャンキーの姿は、こちらの動画でご覧ください。(英語音声のみ)

 少年達は裁判所の決定により12か月の保護観察に付され、5年間、動物を飼うことを禁止されています。また、罰金として少年達にはそれぞれ約10万〜50万円、主犯格の少年の父親には約100万円の支払いが命じられました。

獣医師によれば、あんなにも酷い傷を負いながら助かることができたのは奇跡的だそうです。今はトラウマも乗り越え、チャンキーは愛情に包まれて元気に生きています。

この小さなワンコは大きな生命力を持っていました。元気になれて本当に良かったですね。動物の虐待は残酷で卑劣な行為です。「動物愛護法」は多くの国に存在しますが、動物を傷つけても罪に問われないケースが多いのが現実です。通報があっても捜査されなかったり執行猶予や情状酌量になってしまい、きちんと罰せられない場合がほとんどです。日本の場合、動物保護法違反よりも器物破損の方が重い罪になってしまう場合もあります。

動物達が、チャンキーのように力強い生命力を持っているとも限りません。助かってもトラウマを抱えて生きている動物達が沢山います。動物虐待には、もっと厳しい取り締まりが必要だとは思いませんか?