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すごい人たち

モデルとして活躍する28歳ダウン症の女性

多くの親は、子どもたちに夢を実現してほしいと考えています。そのために「あきらめずに挑戦すれば夢は叶う」と励まします。しかし、子どもの多くが、大きくなるにつれ、世界は誰にでも平等に開かれているわけではないという現実を突きつけられ、夢を追いかけるのをやめてしまいます。

これは、ダウン症のような身体的・精神的な障がいを持つ人々には特に顕著にみられることかもしれません。

ダウン症は多くの健康上のリスクを伴いますが、現在では、医療の進歩により、平均寿命は健常者と変わらないところにまで達しています。それでも、ダウン症の人の社会進出を阻む根強い社会の壁があることは否めません。

28歳のチェルシー・ワーナーは、ダウン症を持って生まれました。筋力が弱かったため、2歳まで歩くことができなかったにもかかわらず、努力を重ね、体操選手としての才能を開花させます。そして、全米スペシャルオリンピックスで4回優勝、世界チャンピオンにも2回なるという偉業を達成したのです。

そんなチェルシーは新たなキャリアとしてファッションモデルになることを決意しました。最初は、どのモデルエージェントに応募しても「ダウン症のモデルは必要ない」と断られます。ダウン症のモデルを見たい人などいない、と彼らは考えていたのです。

しかし、エージェンシーの見通しは間違っていました。

この10年間で、モデルの世界では、多様な美しさへのシフトが進んでいます。ファッションショーや雑誌では、いわゆるキャットウォークモデルのイメージにとらわれないモデルを見かけることが多くなりました。ますます多くの人が、既成概念にとらわれない美しさを魅力的だと考えるようになっているのです。

チェルシー・ワーナーは、あらゆる体型のモデルを扱うWeSpeakというモデルエージェントに出会いました。

チェルシーはWeSpeakと契約して、複数のブランドのモデルとしてのキャリアをスタート。ポジティブでカリスマ性のあるチェルシーはすぐにモデルとして成功を収め、「Teen Vogue」の表紙も飾りました。

「体操選手としての経験が私に自信を与えてくれました。他のエージェントは、私のような人が成功する姿を多くの人が見たがっていることを知らないのだと思います」とチェルシー。

彼女は、ダウン症の若者たちのロールモデルになりたい、と言います。

親から「何でもできるよ」「あきらめないで」と言われるのと、テレビやインターネット、雑誌で自分と同じ障がいを持つ人が活躍しているのを目にしたときのインパクトとでは、雲泥の差があるはずです。

世界中のダウン症の若者は、おしゃれな服を着こなす魅力的なチェルシーの写真を見て、彼女が夢を実現したことに知るでしょう。その姿は、夢を追いかける彼らの大きな支えになるのではないでしょうか。

出典:crafty

プレビュー画像:© Facebook/Chelsea Werner © Facebook/Matthew Manning