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えらい

再び赤ちゃんを抱くことを楽しみにしていた42歳の女性。しかし生まれてきた娘に医師たちは衝撃を受けた。

ロシア在住のヘレナとユーリのシュペングラー夫妻は学生時代からの恋を実らせ、若くして結婚しました。3人の子供に恵まれた夫妻でしたが、42歳を迎え、すでに孫もいるヘレナに大きなサプライズが起こりました。再び妊娠していたのです!

Youtube/Первый канал

末っ子の出産以来、18年間にもわたって4人目を授かることを希望していた夫妻は妊娠判明に歓喜し、出産まで指折り数えていました。高齢妊娠でしたが、幸いにも妊娠の合併症を起こすことなく順調に妊娠期間を送ることができ、妊娠定期診断ごとの超音波検査でも何の異常も発見されませんでした。

そして予定日の約1ヶ月前、ヘレナは赤ちゃんを出産しました。

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ところが赤ちゃんの誕生を待ち焦がれた出産当日、夫妻を取り巻く状況は一転してしまいました。赤ちゃんのダリナが胎内から明るい外の世界へと出た瞬間、担当医師は沈黙します。新生児を母親の腕に抱かせる代わりに、医師は無言で赤ちゃんを別室に連れて行ったのです。分娩出産の疲労から回復したヘレナは当然娘に会いたがりました。しかし看護師はヘレナに「赤ちゃんの状況を知る心の準備はできてる?」と言葉をかけたのでした。

ダリナはとても虚弱で保育器の中でかろうじて生きていました。最初にヘレナは娘の小さな体を見てから、頭部に視線を向けます。そして娘の顔を一目見た瞬間、ヘレナは失神しました。

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ショックのあまり気を失ったヘレナは、蘇生室で意識を取り戻しました。のちに医師から、娘が先天性の希少疾患であるNager症候群を患っていると説明を受けました。この難病は頬や顎の未発達、聴覚障害、傾斜した歪んだような顔が症状として現れ、ダリアの場合は内臓機能障害を伴いその他身体にも異常が見られました。ダリアが次の数週間を持ちこたえることができるのか、医師にすら分からない状況でした。

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医師はヘレナに娘を病院に残して児童養護施設に託すよう勧めました。共産主義社会のソ連時代、障害者は施設に隔離されるのが通例となっており、残念ながら障害をもって生まれた我が子を施設に送る両親は未だに多い傾向にあります。私たちにとってはショッキングな医師の提案ですが、ロシアではごく一般的な対応でした。

ちょうどそのとき、ヘレナと娘に面会に訪れていた夫のユーリが室内に入っていました。初めて娘を見るユーリが一体どんな反応を示すか、ヘレナは不安でいっぱいでした。しかしユーリは気に止める様子も見せませんでした。

「僕たちの可愛い赤ちゃん!」ユーリは涙を流して娘にキスをしたのです。その後間もなく、ダリナは病院から両親とともに退院しました。

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ロシアでは障害者への理解に対する啓蒙が不十分なため、障害者へ根強い偏見があります。夫妻と親しい友人や親族ですら、何故二人がダリナを手放さないのか理解できませんでした。

「この子はこの先そう長く生きられず、まともな生活を送ることもできないんだ。下手に愛着を持って自分達の人生を台無しにしたいのか?」

しかし、夫妻はそんな非難に耳を傾けることなく、他の街へと移ることにしました。幸い、成人した子供たちから必要な援助を受けることができ、夫妻の孫息子も幼い叔母と遊ぶことが大好きでした。

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医師の予想に反して、ダリナは日々元気に成長しています。同年代の子供たちと変わりなく、アニメが好きでお姫様ごっこを楽しみ、歌とお父さんとお母さんとの散歩が大好きな幸せな女の子です。ダリナは外出先で頻繁に人々に凝視されますが、両親は娘を外の世界のから隠そうとはしません。ときには他人から娘の顔をマスクで隠すように頼まれることすらありますが、そんな不躾な物言いに対し、夫妻は毅然としてこう返すそうです。

「もし娘の顔を見たくないというのなら、違う方向を見てください。私たちにとっては娘はそのままで十分に可愛いのですから!」

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ダリナが3歳を迎えると両親は寄付を募るキャンペーンを立ち上げ、公的支援を求めることにしました。今後の成長過程で話し、固形食を食べることができるようになるためにはダリナは先天的に欠損している唇を形成する手術を受ける必要があるのです。すでに最初の手術を受け、今後複数の手術を繰り返すことで大きな改善に繋がると両親も前向きに考えています。

ダリナのエピソードはロシアのテレビ番組でも取り上げられました。こちらから視聴できます。(ロシア語音声のみ)

家族の愛情のもと伸び伸びと育つダリナですが、両親に守られた現在の幼いダリナはときに世間が彼女にとっていかに残酷なものでありうるのかをまだ体験していません。ダリナが近い将来直面しうる試練に立ち向かえる強い精神力を育み、明るい未来を切り開くことができるよう祈るばかりです。素晴らしい両親と兄弟、その家族のサポートに恵まれたダリナならばきっとそうした幾多の障害も克服することができるでしょう!