トリビア
この古い写真を初めて見たときは何も感じなかった。でも実は悲しい事実が隠されていた。
幼い息子を腕に抱く母親の写真です。複雑な表情を浮かべて息子を見つめる母親と、上の空の息子。よく見ていると何か少しずれているような感じを受けませんか?
実は写真の中のこの子どもは、亡くなっているのです。
18世紀のヨーロッパでは、人が死ぬとを画家に依頼して亡くなった人の肖像画を描いてもらう風習がありました。19世紀にカメラが普及すると、それは写真に変わります。まだ医学や病院が発達していなかった時代、人は自宅で息を引き取ることが多く、ヨーロッパにおける「死」は現代よりもずっと身近にあったと考えられます。
死人に服を着せ、化粧をつけ、生きてるようなポーズをとらせて撮影する最後の写真には、哀悼の意が込められていました。
死人を生きているように見せるため、特殊な金具が使われることも。
ポーズは念入りに練られます。
中でも多いのが子どもたちの写真でした。最後の思い出を残す為に撮る家族が多かったようです。
椅子に座っていると、自然に見えますね。
ソファーやベッドに寝かせるのが一番簡単な方法でした。
まだ生きている人間が一緒に被写体になることも。こちらは亡くなった姉の横に寄り添う妹です。
横たわる子が寝ているのではないということを、左の子は知っているのでしょうか。
亡くなった双子を囲む家族の写真です。棺桶が写っているものは珍しいのだとか。
こちらの少女は目を開けられ、カメラを見つめています。
その後のヨーロッパでは、故人の記念写真を撮影する習慣は消えてしまったといってもいいでしょう。死に対する倫理観は、時代と共に大きく変化してきたことがわかります。しかし最近になって再び、亡くなった人の遺体や葬儀の様子をスマートフォンで撮影し、それをFacebookなどのSNSに投稿する人が増えているそうです。写真を撮って故人を偲ぶ方法を、あなたはどう思いますか?
