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ジーンとくる話

【クラスメイトは猫】野良猫をクラスの一員に迎え入れた小学校教室

猫好きな人なら知っているはず、猫には人を癒す不思議な力があるのです。落ち込んだとき、誰かの温もりがほしいとき、猫がそばにいてくれるだけで、心が落ち着き、沈んだ気持ちが前向きになれます。しかし、どうやら猫の力はそれだけではないようです。なんと、トルコの小学校では猫には生徒の学習意欲と集中力を上げる力もあることが証明されたのです。

Cat

小学校教師オズレム・プナル・イヴァスクはある日、教室の向かいの校庭に1匹の猫が座っているのに気づきました。どうやら猫は子供達に興味津々のようで、休憩時間には子供達に近づきナデナデしてほしいと甘えていました。子供達と猫の微笑ましいふれあい、そんな日々がしばらく続きました。

ある日、いつものように教室に入ったオズレムは、机の上でニャーニャーつぶやいている猫にビックリ!教室に入り込んだ猫を追い出すべきか迷いましたが、思わぬゲストに大喜びの子供達を前に、猫を教室に受け入れることにしました。飼い主がおらず野良猫生活を送っていた猫のため、オズレムは放課後に猫を獣医に連れて行き、翌日猫と一緒に登校しました。

以来、クラスの一員となった猫は「トンビ」と名付けられ、教室のマスコット的存在となりました。トンビが授業に参加するようになってからというもの、子供達が私語をすることなく授業に集中するようになり、学習意欲が目に見えて向上しました。

「毎朝トンビの世話をするために、生徒たちは授業開始前に登校するようになりました。トンビと一緒に授業を受けることで、より前向きに勉強を楽しむようになったのです」トンビがもたらした子供達への影響についてオズレムは満足そうに語っています。

すっかりクラスに溶け込み、順調な毎日を送っていたトンビでしたが…ある日、悪い知らせが届きます。

教室に猫がいることに不安を抱いた保護者から、児童の健康への悪影響を懸念する声が上がったのです。事態を重く見た学校側はオズレムにトンビを教室に入れないよう指示しました。突然の通達にオズレムは心を痛めながらも、トンビを家族に預けることにしました。

教室に通うことができなくなったトンビはすっかり気落ちしてしまい、健康状態は日々悪化。やがて食事も受け付けなくなり、すっかり感情を表さなくなってしまいました。心配したオズレムが自宅に連れ帰っても、相変わらず意気消沈したままでした。教室の子供達を恋しがっていることは目にも明らかでした。

すっかり生きる気力を失くしてしまったトンビの姿に、いてもたってもいられなくなったオズレムは今回の一件をネットに投稿しました。現在のトンビの辛い現状をより多くの人に知ってほしい、そんな思いからの行動でした。

すると、投稿を目にした人々がトンビのエピソードを拡散、瞬く間に多くの同情に声が寄せられました。

「トンビの一件に多くの注目が集まり、ニュースでも取り上げられました。イズミル市教育省長をはじめ、大勢の方々から支援をいただきました」とオズレム。

さらに投稿のおかげで新たな進展がみられました。猫の授業参加に難色を示していた保護者がトンビの現状に同情し、考えを改めたのです。トンビは再び教室に戻ることが許可されました。子供達は大喜び、すっかり意気消沈していたトンビも大好きな子供に囲まれ、たちまち元気を取り戻しました。

トンビがもたらした変化はオズレムのクラスだけに留まりませんでした。今回の一件により「猫の授業参加による相乗効果」を知った教育省は、児童の授業集中力向上の取り組みの一環として、野良猫を教室で引き取るべきかについて協議しています。

なんとも胸が温かくなるエピソードです。無事にハッピーエンドを迎えることができて何よりでした。トンビがこれからも子供達と幸せな学校生活を送ることができますように。