ちえとくをフォローする

レスキュー

雌犬は救出されるまで、ずっと短い鎖の苦痛に耐え続けていた。

愛犬を室内飼いするか、自宅の庭で外飼いするか。犬種や住宅事情、また飼い主の生活スタイルによって飼育方法は大きく別れるところ。

外飼いで鎖に繋ぐ場合、国によっては動物愛護の視点から、様々な規制を伴う国もあります。例えば、欧州でも随一の動物愛護先進国と言われるドイツでは、長時間犬を繋ぐ場合は厳しいルールをクリアしなければいけません。繋がれた犬が十分に自由に動くことはできるか、繋がれることが犬に苦痛を与えていないか、首のサイズに合った適切な首輪をつけているか、規定された基準をクリアしていなければいないのです。また、直接鎖を首に巻くことは体を傷つけかねないため、禁止されています。

しかし、今回中米コスタリカの首都サンホセで保護された一頭の犬の飼育環境は、こうした動物愛護の観点からかけ離れたものでした。

番犬として飼育されていた「カーラ」ですが、繋がれていた鎖はあまりにも短すぎました。頭を下に下げることすら困難な状態での生活を強いられていたのです。絶えず頭を上げていなければ首つり状態になってしまうため、寝転がることはなど不可能でした。

十分に餌をもうらうこともできず、衰弱していました。カーラの悲惨な状態を危惧した近隣の住民は警察と地元の動物愛護団体「Territorio de Zaguates」に通報します。

「痛々しい姿に胸が詰まりました。生きる気力を失い、ただ死を待つだけのような哀れな様子でした」とTerritorio de Zaguates設立者のリヤ・バトルは保護当時を振り返ります。

ようやく囚われの身から解放されたカーラは動物病院で外傷や栄養失調の治療を受けました。回復に時間はかかったものの、施設職員の献身的なサポートによりカーラは少しずつ健康を取り戻していきました。

「鎖で首を繋がれていたため、傷は深く痛みを伴い、治癒するまでかなりの期間を要しました。でも徐々に回復するにつれカーラにも私たちの想いが伝わったのでしょう、辛い治療を頑張って乗り越えてくれました」とリヤ。

カーラの傷ついた心と向き合うことは、医療治療以上に困難を極めました。これまで人間と良好な関係を築くことができなかったため、施設職員たちに心を許すまでにしばらく時間がかかりました。

ある晩、保護施設に忍び込んだ何者かが犬たちに毒入りソーセージを与え、内16頭が死亡するというショッキングな事件が起こります。カーラも毒入りソーセージを食べた1頭でしたが、幸いにも致死量に至らなかったため命拾いすることができました。

現在、カーラは新たな飼い主に引き取られ、第二の生活を送っています。

「長年ネグレクト状態で虐待を受けてきたのに、心を開いてくれました。強くて芯の強い犬です。新たな飼い主からたっぷり甘やかされて幸せに暮らしています」とリア。

地獄のような囚われの生活から解放され、幸せを掴んだカーラ。それも異常な飼育環境に気づき、通報してくれた近隣住民のおかげです。虐待を見逃さず、行動に移すことの大切さを教えてくれるエピソードです。