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眠りに落ちたまま目を覚まさなくなった16歳女子。娘に話しかけようとしたとき、母親は心底ショックを受けた!

世界中の子供達にお馴染みにの童話「眠り姫」。魔女の呪いの糸車によって眠りに落ちたお姫様が王子様のキスで目覚める物語は、誰もが一度は聞いたり読んだことがありでしょう。ベス・グーディアの身に起きた実話は、そんなおとぎ話を彷彿とさせるものです。

イギリス、ストックポート在住のベス(22歳)は5年以上にわたり、「眠り姫症候群」の名でも知られるクライネ・レヴィン症候群(医学界での病名)を患っているのです。

ベスが初めてこの病気を発症したのは16歳のときでした。

ある日、眠りに落ちたベスはその後22時間起きることができませんでした。ベスはその後も数日間、数週間にわたり断続的に極度の疲労に襲われている状態が続き、母ジェニンは眠り続ける娘をなんとかしてベスを起こそうとしましたが、不可能だったといいます。起きたかのようにも見えても、子供のような声でつじつまの合わない言葉を二言、三言発するくらいで、再び深い眠りに落ちてしまうのでした。

ジェニンは最悪の事態を恐れ、ベスに脳腫瘍の検査を受けさせることにしました。

しかし、病院で医師の口から告げられた病名はジェニンにとって想定外のものでした。百万人に一人と発病率は極めて稀なクライネ・レヴィン症候群であると診断されたのです。患者は一週間以上ほぼ断続的に眠り続け、症状が出ているときは起こすことは不可能です。睡眠中の患者の側で大きな音を出したり、身体を揺さぶるなどをしても眠りから目覚めることはありません。

病気の症状が始まる直前、ベスは扁桃炎を患いました。すでに回復していたものの、この扁桃炎がクライネ・レヴィン症候群発症の潜在的な引き金になったと医師は指摘しています。クライネ・レヴィン症候群が確認されたほとんどの事例で発症に先立って何らかの「引き金」的な出来事を体験しており、脳の炎症を起こしやすい傾向にある人の場合、感覚印象と睡眠行動をつかさどる脳の領域である視床下部と視床へのダメージが原因となってクライネ・レヴィン症候群を発病するのではないかと考えられています。

 

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最初の睡眠発作以来、ベスは目が覚めている状態よりも長く睡眠状態に陥るようになりました。現在ベスの生活の75%は意識がない状態です。残念ながら人生の若く輝かしい時期の大半を眠って過ごしているのです。睡眠期間中、ベスは頻繁に夢遊病のように歩き回り、数時間ほど目を覚ましますが、通常の覚醒状態に比べると意識は朦朧としており、ときには幻覚を見ることもあるそうです。

こちらのインタビュー動画から幻覚について話す様子を視聴できます(英語音声のみ)

発病前のベスは自信に溢れた社交的な少女で、大学に進学して児童心理学を学ぶことを希望していました。しかしイギリス国内でも100人のみの同疾患患者の一人となって以来、将来目標とする仕事を変更しなければいけませんでした。進学先の大学も病気のため幾度も休学を繰り返し退学せざるをえませんでした。また、睡眠期間中に健康的な食事を十分に摂ることが困難なことから拒食症も併発しています。

 

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多くのクライネ・レヴィン症候群患者が病気により心理的にダメージを受けていると神経科医のガイ・レシュツィナーは語ります。

「患者たちは周囲の現実の世界から隔離され、夢遊状態に取り残されているように感じているのです。睡眠障害が患者の人生に与える影響は甚大です。目覚めたときに、眠っていた間にどんな出来事を逃していたかを知る中で、場合によっては落ち込んだり不安になりかねません。致命的ではないものの、深刻な病です。特に若い患者の場合、人生の基盤を形づくるにふさわしい大切な年月を逃しかねないのですから」

ジェニンは娘の置かれた状況に胸を痛めています。

「一番辛かったのは娘の友人たちが高校を卒業して大学に入学した年でした。もし目覚めていれば自分も同じ立場にいたであろうに、起きてからその知らせを受けた娘はひどく落ち込みました。娘の悲しみは私の悲しみです」

 

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ベスが生活の大半をパジャマ姿で過ごさざるを得ない期間でも、十代の頃の覚醒期間に出会った恋人ダンは心変わりすることなく毎日のようにベスを訪ねています。現在、小学校で教師として勤務する25歳のダンは、辛抱強くベスがクライネ・レヴィン症候群から解放される日を待っています。二人の関係に最も影響を及ぼした睡眠障害発作は発病して間もない初期症状の頃でした。ここ最近の数年間も睡眠障害は発症を繰り返していますが、以前と比べると症状は軽いそうです。

「ダンは睡眠期間中も娘に会いに来てくれて、ほとんど毎日のように娘のそばに腰掛けては話しかけて、目覚めるのを待っているのです」ベスの母親はダンの誠実さに感謝しているそうです。

 

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目覚めている時間をできる限り精一杯楽しもうと努めるベス。病気と賢く向き合う前向きな姿勢が伺えます。

クライネ・レヴィン症候群の根本的な治癒方法はまだ確立されていませんが、自然治癒する報告例も見られます。この極めて困難な疾患から一日も早く解放され、ベスが渇望する通常の健康的な生活を取り戻すことができるよう祈るばかりです。