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【たとえ記憶を失っても…】アルツハイマーを患う元プリマ・バレリーナに「白鳥の湖」を聴かせると…彼女の反応に目頭が熱くなる

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の人間のもつ五感のうち、最後まで残る感覚は聴覚だと言われています。つまり、危篤状態や植物状態、あるいは寝たきりなどで反応が見られなくても、最後まで人の聴く力は失われないということです。音や、音楽が病に冒された人々の心にどのような影響をもたらすのか、スペインの非営利団体である「Música para Despertar」によって今年10月30日に公開されたある動画が大きな反響を読んでいます。

YouTube/Música para Despertar

1960年代にニューヨーク・バレエのプリマ・バレリーナ(バレエ団の最高位の女性バレエダンサー)として活躍した車椅子の女性。彼女はアルツハイマー型認知症を患っており、認知障害を抱えています。記憶を失い無気力な状態にあった彼女に「白鳥の湖」を聴かせると…驚くべき反応を見せました。

こちらの動画をご覧ください(スペイン語音声のみ):

 
白鳥の湖でお馴染みのあの音楽が流れ始めると、ハッとしたようにして手を動かし始める女性。長年プロのバレエダンサーとしての経験からオデット姫のパートの振り付けが体に染み付いているのでしょう。
その目には強い光が宿り、情感たっぷりに車椅子の上で踊り始めます。

YouTube/Música para Despertar

ニューヨーク・バレエのプリマとしておそらく何度もこの演目で舞台を踏んだであろう彼女。振り付け通りのしなやかな動きはもちろんのこと、指先まで細やかな表現力が実に素晴らしい彼女のダンスに圧倒されます。
たとえ病により記憶は失われても、バレエへの情熱までは失われない、長年培った表現力までは奪われない、プロのダンサーとして道を極めた彼女の生き様が伝わるかのような見事なダンスです。

YouTube/Música para Despertar

情感を感じさせる表情と美しいアームス、そして指先の動き…まるで記憶を失った今もなお、心の奥底からほとばしるバレエへの情熱の輝きを捉えたかのような映像です。彼女は永遠にバレリーナでありプリマなのだと教えてくれると同時に、バレエ一筋に情熱を打ち込んだ彼女の人生を物語っているようです。

投稿された動画はたちまち拡散され、多く人々の心に感動を呼び起こしました。

超高齢社会に突入し、高齢者介護が大きな社会問題となっている日本では、認知症は今や身近な病気の一つです。認知症により記憶を失い、無気力で別人のようになってしまっても、かつての情熱の炎は今なお心の奥に灯っているのかもしれません。一患者としてではなく、一人の人間として精一杯人生を生きてきたであろう認知症患者の人生について、考えるきっかけを与えてくれる動画です。

プレビュー画像: ©️YouTube/Música para Despertar