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その目も口も固まった状態の犬を発見した時はもうダメだと誰もが思った。 しかし9時間後奇跡が起きた

アルゼンチン・ブエノスアイレスで、ある日1匹の犬が変わり果てた姿で発見されました。犬を最初に発見したのは地元の子供達。彼らの親がすぐに消防隊に連絡し、それを受けた消防隊から動物保護団体「4 Legged Project」に救助の連絡が入ったのです。急いで駆けつけたスタッフたちは全員、その場の光景に目を疑いました。

なんとそこにはタール漬けになり、身動きが取れない犬の姿があったのです。

ひどいことに、発見時に顔までもタールにまみれた犬は、その目も口もタールによって固まってしまっていたのです。そして鳴き声すら上げられない状態…。

タールは一般的に道路や高速道路の建設に用いられるもので、生物の細胞組織には毒性の強い物質。多くの犬を救助してきたスタッフにとっても、このような悲惨な光景は初めてだったと言います。

そして彼らは近所の家庭から油をもらい、直ちに救助作業に取り掛かりました。全身がタール漬けになった犬の体からタールを取り除く作業は容易ではありませんでした。

体が傷ついてしまうことがないように慎重に作業を進めなくてはなりませんでした。

そして何とか施設へと搬送することに成功したのです。

その後施設では、ひたすら油でタールと落とす作業が待っていました。全身にべっとりついたタールを剥がす作業はなかなか進まず、8人のスタッフが夜を徹して作業を続けました。

その時間、なんと9時間。タールを落とすのに要したのは、50リットルの油3回のシャワー

スタッフ、近所の住人、消防隊員の協力、そして9時間にもおよぶ救助活動によって本来の姿が現れたのです。

タールを剥がし、命が助かった時のことをスタッフはこうコメントしています。

「タールを取り除き、少しずつ彼女の体が見えてくるごとに、私たちの感情は動かされました。そして見てください。今日は彼女の二度目の誕生日です。なぜなら疑いなく、彼女は再び生まれ変わったのです」

このタールまみれの犬の奇跡の救出劇はFacebookに投稿され、たちまち世界中の人から感動とスタッフへの称賛の声が寄せられました。

犬はその後「アロエ」と名付けられ、すっかりと元気を取り戻したそうです。そしてその後第一発見者の子供と家族、そして消防隊員にその元気な姿を見せてくれました。

今回、なぜアロエがこのような悲惨な目に遭ってしまったのか経緯ははっきりとしていないとのこと。過ってタールの中に落ちてしまったのか、または誰かの悪意によって放り込まれてしまったのか…。後者だとしたら許せない行為。「4 Legged Project」は「動物たちには保護される権利、生きる権利がある」として動物虐待に苦しむ命を助け、日々そんな悪意と戦っているのです。

万が一発見されていなかったら、あのまま苦しみ命を落としていたことでしょう。人々の優しさが救ったアロエの命。急死に一生を得たアロエが、もう2度と苦しい思いすることなく、そして幸せに暮らしていけますように。

プレビュー画像:©︎Facebook/Proyecto 4 Patas, ©︎Facebook/Proyecto 4 Patas