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娘を殺した人物を、両親は葬儀に招いた

オーストラリア・キャサリンに暮らすエイミー・エベレットは14歳で、「ドリー」という愛称で知られていました。8歳のとき、オーストラリアでは知らない人はいない帽子メーカー、アクブラのCMモデルとして「ドリー」の名で起用されるとCMは大ヒット。しかしエイミーは名声に溺れることなく堅実な生活を続け、学校に通いながら動物の世話を欠かすことのない優しい少女に成長していました。

8歳の時に出演したCMの明るくて元気なイメージとは裏腹に、現実にはエイミーは耐え難い精神的苦痛を味わっていました。インターネット上で何年にもわたって罵詈雑言を浴び続けるなど壮絶ないじめを受けていたのです。生きる希望を失うほどまでに追い詰められたエイミーは、2018年1月3日、ついに自らの命を経ってしまいます。

エベレット一家は娘の死に精神的に打ちのめされました。なぜ助けを求めてくれなかったのか、なぜわかってあげられなかったのか、遺族は永遠に答えの出ない問いを続けています。キラキラした瞳の笑顔の美しい、動物が大好きなエイミーは一家から奪い取られてしまったのです。

そしていじめで娘が命を絶ったという事実に遺族は苦しみ続けています。エイミーの父ティックは、娘の自殺に関してこうFacebookに投稿しています。「自殺は勇気のない人がすることだと思っている人もいるだろう。でもそういう人たちは娘の強さを到底わかっていない。この世の邪悪なものから逃げるためしなければならないことをするだけの意志の力が娘にはあったんだ」

遺族は悲嘆に暮れ、そして罪のない娘を死に追い詰めた加害者に対する気が狂いそうなほどの怒りに燃えています。

ティックは加害者にこう呼びかけています。「いじめや嫌がらせをただのジョークだと思っているなら、自分たちがどんな結果をもたらしたのか葬式に来てその目で見るといい」

娘の命を奪ったインターネットで横行するいじめや嫌がらせによって、さらなる被害者が生まれないよう、遺族は怒りを行動に変えようとしています。娘の死から数日後、遺族は#stopbullyingnowを付けてインターネット上のいじめ防止キャンペーンを開始しました。いじめがもたらす絶望的な結果を多くの人に知らせること、そしていじめに苦しんでいる人たちを救いたいとの思いからです。「この活動で誰かの命を救うことができたら、ドリーの死も無駄ではありません」「いじめをやめよう。特に子供達のいじめをやめさせよう。失って初めて気付くのでは遅すぎるのです」

このキャンペーンのシンボルは、ドリーが命を絶つ数日前に描いたイラストです。ストレッチするバレリーナの後ろには「声をあげよう。たとえ声が震えても」のメッセージが。エベレット家にとって、悲しすぎるほど完璧なキャンペーンのスローガンです。「この力強いメッセージは、かわいい娘が旅立たねばならなかった暗くて恐ろしい現実を表しています」

このいじめ防止キャンペーンは、ドリーのCMクライアントだったアクブラもサポートしています。「いじめはどんなものでも許容してはいけません。あなたの娘、姉妹、ガールフレンド、誰でもドリーになる可能性があるのです」アクブラが自社のインスタグラムでこのメッセージを表明すると、エベレット家のキャンペーンは一気にオーストラリア全土に広がっていきました。

命が失われてからでは遅すぎる。エベレット家は、その思いを胸に必死でいじめ防止キャンペーンを展開しています。1人でも多くの若者が、死ぬ以外の逃げ道を見つけ出せることを願っています。