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母親は皮膚病の赤ちゃんを漂白剤入りのお風呂に入れる、それ以外に方法がなかった。

「まるでプラスチック製の人形みたい」ウイスコンシン州に暮らすレイブン・フォード(23歳)は、生まれたばかりの娘アメリアの姿を見てそんな印象を抱かずにはいられませんでした。アメリアの皮膚はピンと突っ張り、薄く張った皮膚はテカテカに光っていました。

あまりに皮膚が張った状態のため、出産直後のアメリアは満足に目や口を閉じることすらできない状態でした。出産の翌日、専門医によってアメリアは魚鱗癬を患っていると診断されます。

魚鱗癬とは遺伝性疾患で、魚の鱗のように肌が硬くなってしまう病気です。皮膚のターンオーバー速度が異常に早く、新しい皮膚が表面の角質層にどんどん形成される一方、古い肌細胞が自然に剥がれ落ちることなく留まるのです。根本的な治療法はまだ確立されておらず、対症療法が行われています。

「数日おきの入浴の際、大さじ2杯の漂白剤を浴槽に入れています。もちろん、誰もが賛同するような療法ではないかもしれません。反対意見の人は多いでしょうが、これは皮膚科医によって推奨されている皮膚表面の鱗屑にバクテリアが増殖するのを抑える唯一の方法なのです。もし処置を怠れば、感染症を引き起こしてしまいます」と、レイブン。

魚鱗癬患者の多くは汗腺がほとんど発達していないため、汗をかくことができません。そのため、アメリアの両親は夏場は1歳の娘が熱中症になることがないよう、特に注意しなければなりません。入浴療法に加え軟膏などでまめに保湿する必要があります。

「生まれた直後は滑らかだった皮膚が、角質層が蓄積するにつれ、どんどん黒ずんでいきました。とうとう完全に目を閉じることができなくなり、医療用軟膏をいくつも試しました」とレイブンはこれまでの経過を語ります。

「その後、皮膚がボロボロと剥がれ落ち始めました。現在は新生児の頃のように皮膚が剥がれて出血することはなくなりましたが、上半身はまだ痛々しいままです。まるで蛇の鱗のようです」

家族が外出する際、周囲の注目を集めるのはアメリアだけではありません。母親のレイブンもアメリアが重度の日焼けを負っていると勘違いした人々から、親の責任能力を問われたり非難されることが多々あるのです。第二子、第三子を望んでいたレイブンですが、魚鱗癬の症状を持って生まれないという保証はないため、子供を望むことを「自分勝手」と非難されることもあります。

「アメリアはとても幸せな女の子なのに、『自分勝手』だと中傷されることは心外です。こうした心無い言葉を投げる人々に対して無視することもあれば、魚鱗癬とはどのような疾患なのか理解してもらうため説明しようとすることもあります」

つらい症状にもくじけないアメリア。そのチャーミングな笑顔は家族にとって希望そのものです。これからも、アメリアの笑顔が曇ることのないよう、そして症状が少しでも緩和するよう願うばかりです。頑張れ、アメリア!