重い障害を持って生まれてくることを知りつつ子供を作った夫婦、周囲から非難を浴びる

イギリス・ノーフォークに暮らすサイモン・ムーアは、引きこもりがちな子供時代を過ごしました。 幼い頃から学校でいじめらていたという彼は、今でも外出すると人にじろじろと見られたり、指を刺されたり、さらには写真を撮られことがあるといいます。サイモンは、トリーチャー・コリンズ症候群と呼ばれる先天性疾患を持って生まれてきました。頬骨の不形成、垂れ下がった目、耳の奇形などが特徴的な症状として見られる、非常に珍しい疾患です。サイモンが周囲の視線を集めてしまうのは、その特徴的な外見のためです。

そんなサイモンは、数年前に運命の女性と出会いました。聴覚障がい者でもある彼が手話のクラスで知り合ったヴィッキーです。ヴィッキーは3人の子供を持つ女性で、サイモンは彼女の優しさに惹かれたといいます。出会ってから2年後、2人はめでたく結ばれます。

Facebook/Simon Moore

新婚の夫婦は子供が欲しいと考えていましたが、ヴィッキーは3人目を産んだ後に不妊手術を受けていました。人工授精には日本円で100万円以上の高額費用がかかり、また、子供が父親と同じトリーチャー・コリンズ症候群を持って生まれてくる確率は50%でした。

「この障害はさまざまな形で現れます。例えばサイモンのように聴覚障を持って生まれてくることも、顔がない状態で生まれてくる可能性もありました。でも私たちにとって赤ちゃんが障害を持って生まれてくるかどうかは重要ではありませんでした。サイモンも障がい者ですが、とても素晴らしい人間です」ヴィッキーは言います。

Facebook/Vicky Moore

そして2014年2月、2人の間にアリスが誕生しました。ヴィッキーは娘を初めて腕に抱えたときのことをこう覚えています。

「お父さんにそっくりでした」

サイモンに比べて軽度ではあったものの、アリスもトリーチャー・コリンズ症候群を持って生まれてきたのです。口蓋裂、耳の不完全形成、難聴が確認されました。

Facebook/Vicky Moore

サイモンとヴィッキーは祝福されると同時に、周囲の人々から障害を持って生まれてくることを知っていながら子供を作ったことに対して多くの非難を浴びました。アリスが1歳半の頃、娘を外に連れ出すしたヴィッキーは近所の住人に、「その子を作ったのは残酷なことだ」と言われたといいいます。またあるときは、幼い子供たちに娘を「醜い豚みたい」と呼ばれたこともありました。

Youtube/Latest News

しかしサイモンとヴィッキーは、自らの選択を後悔していません。

「アリスが健常者として生まれてきて欲しいと願ったこともありません」サイモンは言います。「僕も同じ問題を抱えて生きてきましたが、彼女が障害をもって生まれてくるかはどうかは、気にしていませんでした。障害を持って生まれてきたとしても彼女をしっかりと愛してくれる人たちに囲まれて育つことができるとわかっていたからです。彼女は僕らの小さなお姫様で、僕はアリスに毎日、どれだけ彼女が美しいかを伝えていくつもりです」

Youtube/Latest News

障害を持って生まれてくることを知りながら子供を生んだサイモンとヴィッキーを批判する声は絶えないそうです。もちろん、美しい娘を守ろうと奮闘している夫婦を応援してくれる人もたくさんいます。また、高確率で子どもの障害の有無を妊娠中に知ることができるようになった近年、障害を理由に中絶という形をとる人々も少なくないことを指摘し、それこそ身勝手な判断だと批判する声もあります。愛、倫理、障がいをもつ人々の権利、遺伝的な優劣や優生学など、多面的な要素が絡み合う複雑な問題です。

サイモンとヴィッキーの選択に、あなたは何を思いましたか?

アリスがこれからも愛に溢れた環境で健やかに育っていけるよう、サイモンの家族を心より応援しています。

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