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ジーンとくる話

妊婦の命が危機的状況にあることを犬が警告!

犬は人間の良き友と言われるように、犬は忠誠心が強く、飼い主と強い絆で結ばれています。また、仲間を危機的状況から守る防御本能に優れており、危険を顧みず飼い主家族を守ったというエピソードは枚挙にいとまがありません。そして時には、自分が危険な状態にあることに本人ですら気づいていない場合でも、犬は敏感に察知し飼い主を危機から救うことがあるのです。

英国ドンカスターに夫リッキー・バトラー暮らすアルハナは長い間子宝に恵まれませんでした。ようやく待望の妊娠が判明すると、バトラー夫妻は大きな喜びに包まれました。

アルハナが妊娠に気づいたきっかけは少しユニークなものでした。愛犬ケオラが妊娠検査薬の陽性反応を教えてくれたのです。一旦は陰性結果だと思い、ガッカリしてゴミ箱に捨てた検査薬でしたが、ケオラがゴミ箱を覗き込んで離れないため、もう一度捨てた検査薬に目をやると、陽性のテスト結果が出てたのです。普段よりも少し反応が出るのが遅れたため、アルハナは今回も陰性だと勘違いしていたのです。ともあれ、嬉しい誤算でした。

アルハナの妊娠経過は順調そのものでした。ただ一つ、原因不明の腰痛に悩まされていましたが、腰痛を抱える妊婦は珍しくはありません。そのため、医師もさほど注意を払うことはなく特に詳しく原因を突き止める検査をしようとはしませんでした。

しかし、症状は悪化するばかりで体調が優れない日々は続き、とうとうアルハナは痛みのあまりほとんど歩くことができなくなってしまいます。それでも、医者アルハナの訴えを妊婦特有の症状として深刻に受け止めてはいませんでした。

そんなアルハナの症状を見過ごすことができなかったのがケオラです。アルハナの側から離れようとせず、クンクンと鳴き声を上げてはじっと見守るように寄り添い、切羽詰まった眼差しで見つめていました。

アルハナは妊娠期間の写真を多くSNSプロフィールに投稿していました。ある日、アルハナの母アマンダは娘の妊娠18週目の写真に目を止めます。それはケオラがアルハナのお腹を見つめているものでした。何かを感じ取ったアマンダは娘に電話で伝えました。

「ケオラが何かを伝えようとしているに違いないわ。早く病院に行って検査しなさい!」

母のアドバイスに従い、医師に何と説明したら良いのか明確な考えはないものの、アルハナはその日のうちに病院へと向かいました。そして病院に到着してすぐに、事態の深刻さに気づくことになります。アルハナは受付にたどり着く前に、病院の廊下で意識を失い倒れてしまったのでした。

すぐさま集中治療室に送られたアルハナ。そこで明らかになったことは、アルハナは薬剤耐性菌感染症を引き起こしていただけでなく、命の危険を伴う急性の腎炎を発症していたという事実でした。もし当日病院を訪れていなければ、おそらくアルハナの命は無かったことでしょう。

医師らによる懸命な治療は2週間にわたり、その間アルハナは生死の境をさまよいました。そして集中治療の甲斐あり容体は回復し、1ヶ月後ようやく退院を許されたのでした。

厳しい状況から生還したのはアルハナだけではありませんでした。お腹の赤ちゃんも奇跡的に無事に試練を乗り越えることができたのです。リンカーンと名付けられた長男の誕生に歓喜したのはバトラー夫妻だけではありませんでした。

「リンカーンのことに関してはケオラを完全に信用しています。彼がお腹の中にいたときからずっと、愛情を注いでくれていたのです。今ではいつでも一緒です」

生まれる前から見守ってくれていたケオラはリンカーンにとって、頼もしく心強い存在です。これからもずっとケオラが見守ってくれることでしょう。

それにしても、医師ですら見過ごしていた危険をいち早く察知して知らせるなんて、なんという利口な忠犬ぶり!素晴らしいですね。