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アジア系高齢女性に突然殴りかかった差別主義者 予想外の代償を得る

ご注意ください:この記事には、事件の被害を伝えるショッキングな映像や画像が含まれています。

 

欧米ではアジア人に対する人種差別が加速しています。

アジア系というだけで何の罪もない人々が暴言を浴びたり、公共の場で暴力を振るわれるなどのヘイトクライムが相次いでいるのです。特に被害を受けているのがアジア系の女性と高齢者。新型コロナウイルスの流行に伴い、前アメリカ大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んだことも、アジア系全体へのヘイトクライムを助長したと言われています。

こうした暴力事件が増加する中、2021年3月18日、米カリフォルニア州サンフランシスコで起こったアジア系住民へのヘイトクライムは、多くの人の予想をくつがえす結果をもたらし、世界中で話題となっています。

©Youtube/NBC Bay Area

39歳の白人男性スティーブン・ジェンキンスは、アジア系の高齢者2人に対し、残忍な暴行を加えました。まず83歳のベトナム人男性ゴック・ファムさんに路上で突然殴りかかります。ゴック・ファムさんは鼻の骨を折るなどの怪我を負い、病院に搬送されました。

ジェンキンスはその場から逃げる途中、横断歩道で信号待ちをしていた76歳の中国系女性を見つけ、近づいて顔面を数回殴りました。

©Youtube/ABC7

しかし、このおばあさん、シャオ・ゼン・シーさんは、ただ者ではありませんでした。シャオさんは身を守るために持っていた木の棒で犯人に猛反撃したのです。

シャオさんが徹底的に叩きのめしたので、駆けつけた警察は犯人を担架で病院に運ばなければならなかったほど。逮捕された犯人の表情はまさに呆然。卑劣にも高齢者を選んで殴った男は抵抗されることはないと思いあがっていたのでしょう。

©Youtube/ABC7

しかし、勇敢に戦い抜いたシャオさんも無傷ではありません。手首は腫れ、殴られてあざになった両目も腫れ、片目はまだ流血が止まっていません。さらに、恐怖からPTSD(神的外傷後ストレス障害)に陥り、家から出ることすら苦痛になってしまったといいます。

アメリカの医療制度には日本のような加入義務のある健康保険がないため、シャオさんの精神的・身体的な傷にも法外な治療費が請求されます。

©Youtube/NBC Bay Area

そんなシャオさん助けようと立ち上がったのがシャオさんの家族です。孫のジョン・チェンさんが「祖母がトラウマから回復するのを助けて」というクラウドファンディングのページを開設すると、わずかな期間に世界中の人々から90万ドル以上(約1億円)の寄付が寄せられました。

この事件の目撃者の一人が、襲撃後の様子を撮影していました。その映像は世界中のニュースで取り上げられました。その一部を下のリンクからご覧いただけます。シャオさんは殴られた顔を保冷剤で冷やしながらも、北京語で「なんで殴ったんだ?あいつが私を殴ってきた!」と叫んでいます。

シャオさんの孫のジョン・チェンさんは世界中から寄せられた寄付に感謝しつつも、傷ついた祖母のことを心配しています。「襲撃の話をすると途端に泣き出すんです。その度に祖母を慰めていますが、いまだにめまいが続いており、右目はまだ見えていません」

それでもシャオさんの怪我は少しずつ回復に向かっているということ。シャオさんは集まったお金を、アジア人に対する人種差別と戦う団体に寄付することを表明しています。「祖母はこれは自分だけの問題ではないと主張しているんです」とジョン・チェンさんは述べています。

ヘイトクライムは特定の人、国、人種だけの問題ではありません。人種差別の矛先が私たちアジア人に向けられている今こそ、みんなで一緒に考え、声をあげていくべきではないでしょうか。

アジア人差別に声をあげた大坂なおみ選手に関する記事も併せてご覧ください。

プレビュー画像: ©Youtube/ABC7