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スポーツ

競技本番3日前、馬の顔が腫れ上がってしまった。その後、観客とカメラが見守る前で起こったことに、数百万人のオリンピック観戦者が感動した。

アデリンデ・コーネリッセンは、ヨーロッパ選手権など国際舞台で数々のタイトルを手にしてきたオランダ人の馬場馬術選手です。2016年リオデジャネイロで開催された夏季オリンピックでも、19歳になる牡馬パージヴァルと共に金メダル獲得の期待がかかっていました。

競技当日に向けた準備は順調に進んでいました。パージヴァルもリオへの移動中もトラックでの練習でもリラックスして落ちついている様子でした。しかし、本番3日前に思わぬアクシデントが発生してしまいます。パージヴァルが虫に刺されてしまい、顔が大きく腫れ、40.0℃の高熱を出してしまったのです。

アデリンデはパージヴァルのことが心配で、 片時も側を離れることなく、一時間ごとにパージヴァルの体温を測りながらきゅう舎で夜を過ごしました。競技当日、熱は37.5度まで下がり(馬の平熱は約37.5℃~38.0℃)、顔の腫れも少し引いていたため、獣医との相談の上、アデリンデは競技への出場を決断します。そして競技当日、世界中の人々が見守る中、あることが起きました。

アスリートは後日、自身のFacebookにそのときのことを振り返る報告を投稿しています。

「競技場に入ったとき、パージヴァルが全力を出そうとしているのを感じた。闘志あふれるパージヴァルは、これまでもギブアップしたことは一度も無かった。でもあの子を守るため、今回は私が諦めた…。私の相棒で大切な友人で、生まれてからずっと私にすべてを捧げてくれてきた馬に競技をさせることなどできなかった。私は敬礼して、そのまま競技場を後にした」

金メダル候補の突然の涙のリタイアに、多くの馬場馬術ファンが驚かされました。そのため、馬の脚にヒビでも入っていたのではないかとの噂が広まります。しかし、アデリンデはただ、体調の良くないパージヴァルに無理をさせてまで競技に挑みたいとは思わなかったのです。

「沢山のメッセージをありがとうございます!感謝の気持ちで一杯です!パージヴァルを心配してくれた人たちから多くの質問をもらったので、ここに写真をアップします!パージは、私が見る限り元気です。あと、訂正したいことがあります。骨にヒビはありません。本当のストーリーじゃ納得できなかったのかしら?とにかく、パージが元気に健康になって私は嬉しいです!」

パージがアクシデントを乗り越えて再び元気になれたことは、彼女にとっては金メダルを獲得するよりも嬉しいことだったのです。愛馬を思いやるアデリンデの決断を、多くの人が称賛しました。

プレビュー画像:©Facebook/Adelinde Cornelissen, ©Facebook/Revista Mundo Equino