観光資源として利用されずっと虐待を受けてきた象たちが初めて受けた愛情。

観光客を背中に乗せ芸を披露してくれる象は優しい動物だと思っている方も多いと思いますが、タイなどへ行く観光客が気づいていないのは、象たちは決して自分の意思でそうしているわけではないという事です。現実はその反対です:象たちは一生を囚われの身のまま終えるのです。

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何世紀にも渡ってタイなどの東南アジア諸国では、象に対し「パジャーン」と呼ばれる慣習が続けられてきました。この儀式は子象を若いうちに母象から離し、最低一週間木製の檻に足を縛り付けた状態で隔離するというものです。

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檻の中で子象たちは、ありとあらゆるおぞましい方法で拷問されます。その拷問はかぎ型の鎌や金属の棒を使って行われ、子ゾウの体には傷跡が残ります。この儀式の間、象たちは飲まず食わずで、挙げ句の果てに寝ることさえ許されません。ゾウにとってまさに逃げ場のない生き地獄なのです。

Facebook / Elephant Nature Park

何年もの虐待を受けたのち、象使い達は若いゾウが生きることを諦めるその瞬間を見逃しません:ゾウの心が虐待によって疲れ果て、その体が死を望む時が来ることを彼らは知っているからです。ここですかさず象使いたちは、ゾウに水と食料を与えます。

若いゾウたちは虐待ののちに飼い慣らされ、観光産業や違法な林業などに駆り出されます。

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みんなからレクさんと呼ばれている、タイ人活動家のサングドゥエン・チャイラートさんはこの非人道的な儀式に終止符を打つべく、その活動に一生を捧げています。幼少期に経験したある出来事がまだトラウマになっているからです....「傷を負ったオスのゾウが無理やり働かされていたの。苦痛に鳴き声をあげていたから、飼い主にこのゾウは少し休憩してもいいかと尋ねたら時間がないという答えが返ってきた....彼らは死ぬまで働き続けるんだって。飼い主が仕事に戻れと言ってそのゾウを叩いたら、ゾウの顔に怒りと悲しみの表情が浮かんだの....そしてまた苦痛に鳴き声をあげた。あの出来事は決して忘れられない。」とレクさんはその時の様子を語ります。

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レクさんは今でもあの時の出来事が忘れられず、時にゾウが鳴き声をあげた瞬間を夢に見ることさえあります。しかしこの伝統儀式という名のゾウに対する虐待に1人で立ち向かうことは不可能なため、ゾウ公園を設立します。グリーン・ツアーズという団体の後援で、ゾウ公園は1996年に開園式を迎えました。

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タイ北部にあるゾウ自然公園( Elephant Nature Park )は虐待を受けたゾウたちの保護施設だけではありません。自然公園の周囲は自然がそのままの状態で残され、ゾウたちは思い思いに、公園中をのびのびと走り回ることができます。この自然公園にはゾウの背中に乗っている人はいません。ゾウたちは芸を求められることも、大変な仕事をさせられることもありません。なぜならゾウたちの幸せこそがこの自然公園の存在意義だからです。観光客はツアーを予約することができ、入場料は公園の維持費となります。

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ここへやってくるのはどれも、今まで凄惨な扱いを受けてきたゾウたちばかりです。精神的にも身体的にも傷を負ったゾウたちがほとんどです。「この保護区へくるゾウたちの85%が精神に障害を抱えています。まるでゾンビのようにひたすら遠くを見つめているゾウもいます。過剰な重労働が原因で障害を負ったり、怪我をしたり、目が見えなくなったり、中には足が不自由なゾウもいます。でも一番の問題は精神的ダメージを負っているゾウたちです。そうしたゾウたちの多くは、無気力に立ち尽くしていることが多いのです。中にはぐるぐる同じところを回り続けているゾウもいます。他のゾウたちを見ると、鳴き声をあげて走って行ってしまうんです。」とレクさん。

レクさんはついにそんな精神的ダメージを負ったゾウたちと気持ちを通いあわせ、傷ついた心を癒す方法を見出したのです。ゾウたちを安心させる彼女の存在感、直感そして優しい子守唄でゾウたちの閉ざされた心の扉を開くことに成功したのでした。

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長きにわたり保護区を支援してきたヘンリク・エネフォルドセンさんはレクさんの成し遂げた偉業についてこう語ります。「レクさんがゾウに話しかけると、ゾウたちは彼女の側を離れようとしないんです。ゾウたちが皆レクさんのところへ一度に集まってくるから、レクさんと一緒にフィールドに出ることができないこともあります。」

Facebook / Elephant Nature Park

下の動画をクリックすると、レクさんの日々の活動の様子やゾウたちが受ける様々な虐待の様子を見ることができます。

何年にもわたりレクさんはゾウたちのためにたゆみない努力を重ね、2度と若いゾウたちが虐待を受けることのないようにと活動を続けてきました。これからも多くの観光客がレクさんのゾウ自然公園を訪れ、自らの身を守るすべのない彼らがこのような無意味な仕打ちを受けることがない世界が訪れることを祈るばかりです。

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