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92歳の女性は物憂げな目で毎日地下鉄に乗り込む。彼女が向かう先に目を疑う

ニューヨークの地下鉄では毎日、様々なバックグラウンドを持った人々の人生が交錯しています。今回紹介するメリッサ・フリーマンさんも、そんなニューヨークの地下鉄に毎日乗り込み、あるところに向かい続けています…60年以上もの間ずっとです!

彼女の向かう先…それはハーレムの小さな診療所。そう、メリッサさんは、ニューヨーク中のオピオイド系鎮痛剤の中毒に苦しむ人々を救い続けている、現役の内科医なのです!診療所が抱える患者数は、優に200人を超えています。

YouTube/Good Morning America

メリッサさんはこう語ります。

「私は生粋のニューヨーカー。だから、移動するときはもっぱら地下鉄ね」

それにしても、御歳92歳…人を治療し続けるエネルギーは一体どこから来ているのでしょうか?

YouTube/Good Morning America

「神様が私に命と強さを与えてくれた以上、私はこれをやり続けなければならないと感じるんです」

メリッサさんのバックグラウンドは複雑です。メリッサさんの祖父は1850年代に生まれてすぐ母親から引き離され奴隷として売られていました。奴隷解放宣言が出された1863年まで、バージニア州の農園で奴隷としての生活を余儀なくされていたのです。メリッサさんの祖父も、そして父親も、残念ながら教育を受ける機会がありませんでした。

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メリッサさんが生まれたのは1926年、奴隷解放宣言が出されてから60年以上が経っていましたが、黒人の人々が教育を受ける機会は平等ではなかった時代です。しかし教育熱心な家庭環境に恵まれたメリッサさんは、学業に励み将来ピアニストになるべく音楽のレッスンを受けていました。そんなにある日、転機が訪れます。親しくしていた友人に、「医者になってみたらどうか」と言われたのです。その時、ミュージシャンになるには才能に欠けていると感じており、また、生理学のクラスも取っていて科学にも興味があったメリッサさんは、医師になることを真剣に考えるようになります。

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しかしその時、ちょうどメリッサさんの父が亡くなり、経済的に苦しい状況を強いられてしまいます。メリッサさんは、そんな経済状況でどのように医学の道を志せば良いのか悩みます。

しかし、「意志あるところに道は開ける」…メリッサさんは、フルタイムで仕事をしてお金を稼ぎながら、医学の夜間コースに通い、そしてついに1955年、名門・ハワード大学の医学部を卒業するのです。

そこから、メリッサさんの医師としてのキャリアは開かれました。人々の治療をすることが、メリッサさんにとって生きる歓びとなったのです。

メリッサさんは引退について尋ねられると、いつもこう答えます。

「少なくとも、当面のところその予定はないわね!」

 
 
 
 
 
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年齢を感じさせないエレガントでシャープな語り口のメリッサさん。ニューヨークのハーレムで、今も苦しむ人のためにありたいと願う彼女は、生きる伝説となりつつあります。

 

プレビュー画像:©︎YouTube/Good Morning America