右手が欲しいと父親にねだる4歳の男の子。不可能と思われた願いを叶えた父親のアイディアに涙する。

アメリカのカリフォルニア州に暮らす4歳になるカーター・キャンポスは、あるものが欲しくてたまりませんでした。 ある日父親のマイケルとお風呂に入っていたとき、父親の方を振り返りこう言いました。「パパ、僕に右手を作って」

Facebook/E-Nable: Claws from Carter

カーターには、生まれつき右の手首から先がありません。妊娠12週目の超音波検査ですでに判明していたことでした。生まれてからこれまで、右手がないことで困ったことはほとんどなく、日常生活には支障はありませんでした。ボトルを掴むのも、服を着るのも同年代の子供と同じようにこなすことができます。それでも右手が欲しいというのはもっともです。

当初マイケルは、息子の願いにどう答えていいのかわからなかったと言います。「心が痛んだ。我が子がどうしても欲しいと言っているものを与えることができないというのは本当に辛いこと。生まれつき無い右手が欲しいと言われた瞬間、涙が溢れそうだった。そう言われても『そうだね、いつかね』としか答えてあげられなかったんだ」

義手の作成には100万円以上かかり、成長を続ける子供用の義手は6ヶ月ごとに交換しなければなりません。もちろん多くの家庭にとって、これは簡単なことではありません。

Facebook/E-Nable: Claws from Carter

しかしどうにかして息子の願いを叶えたいと、義手に関する情報をインターネットで収集していたマイケルは、Enabling the Future(e- NABLE)のウェブサイトにたどり着きます。このウェブサイトでは、3Dプリントで作る義手の設計デザインを無償で共有しています。きっとこれを利用すれば息子の願いを叶えてあげられる、マイケルは確信しました。

Facebook/E-Nable

すぐに3Dプリンターを所有している研究施設はないかと検索すると、幸い近くに存在することがわかりました。マイケルが事情を研究員たちに話すと、研究所はぜひ手助けがしたいと、すぐにカーターを連れてくるよう申し出たのです。

YouTube/Mic

カーターと研究所を初めて訪問してから数週間後、2人で再び訪れると、そこにはすでにカーターの右手が置いてありました。「『これが息子が生まれてこのかた持ったことのない右手なんだ』って思ったら、また感極まってしまった」目にした瞬間をマイケルは振り返ります。

そしてもちろんカーター本人は飛び上がって大喜び。しかもこの3Dプリンターを使った義手は機能するだけでなく、まるでスーパーヒーローやロボットのようなかっこいい仕上がりなのです。「みんなと違う」右手が誇らしげです。 

Facebook/E-Nable: Claws from Carter

この義手を1つ作るのにかかるコストはわずか45ドル(約5000円)ほど。マイケルはこの喜びを他の人にも広げたいと、Claws From Carterというウェブサイトを設立しました。3Dプリンターでの義手の作成、輸送、そして修理等の費用をウェブサイトで寄付を募ってまかない、このかっこいい義手を生まれつき腕のない子供たちに無償で提供しています。

何本の義手を作ったかはもう「数え切れない」というマイケルですが、これまでにミシガン、カリフォルニア、アリゾナ、インディアナ、ジョージア、フロリダなどの国内各地を始め、イギリスに住む子供たちもキャンポス父子からの義手を受け取っています。

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この活動を続ける理由をマイケルはこう語っています。「この活動を通して、どうして息子には腕がないのか、なぜうちの息子が、という今までずっと抱えてきた問いの答えをようやく見つけたのです。つまり、息子がこうして生まれてきたのは、息子と同じ障害を抱える他の多くの子供たちの生活を、もう少し生きやすくしてあげるという使命を持って生まれてきたということなのです」

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3Dプリンターで作った義手はまだ完璧なものではありません。それでも物を握ったり支えたりするのはずっと楽になります。成長真っ只中の子供達にとって、安価で手軽に作成できるこの義手の存在は大きいでしょう。それに、こんなにかっこいい義手なら「みんなと違う」ことで気後れする必要なんてなさそうです。より多くの子供達にこの義手が届きますように。

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