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ジーンとくる話

犬の体は森の中で発見された。その物語を知ったとき、街の人々は胸が張り裂ける思いだった。

これは少し前に、ロシアで起こった出来事です。ロシアのトリヤッチに住む夫婦は、ジャーマン・シェパードの子犬を知人から譲り受けました。子犬は夫婦の愛情をいっぱい受けて育ち、やがてたくましい成犬に成長します。彼は家族の大切な一員でした。夫婦はよく愛犬を連れて森までドライブし、ヴォルガ川の岸でピクニックを楽しんでいたそうです。しかし、1995年の夏の暑い日、悲劇が起こります。

夫婦の乗る車が、森に向かう途中の道で別の車に追突されてしまったのです。夫婦はその場で即死。奇跡的に助かったのは、同乗していた夫婦の愛犬だけでした。

事故現場から救出された犬は、傷の手当を受けて元気になります。しかし傷が癒えると、彼は事故現場に毎日通うようになりました。来る日も来る日も通った末、やがて犬はそこから動かなくなりました。数日が過ぎ、数週間がすぎ、数ヶ月が過ぎても、犬はその場所から離れようとしません。飼い主がいつか必ず戻ってくると、彼は信じていたのです。

YouTube/«Телеграф-ТВ»

やがて事故から1年が過ぎました。雨の日も雪の日も同じ場所で何かを待ち続けている雄犬がいることに、トリヤッチの人達が気づき始めたのがこの頃です。彼をシェルターや自宅へ連れて行こうとした人も多くいましたが、犬はいつの間にか抜け出して必ず同じ場所へ戻っていってしまいました。飼い主の車に似た車が通る度に、立ち上がって追いかけようとする犬に多くの人が心打たれました。

YouTube/«Телеграф-ТВ»

事故から5年後、トリヤッチの人々は犬をその場から動かすのをとうの昔に諦めていました。そしていつの間にか彼には名前が付けられていました。ギリシャ語で「忠実な者」を意味する「コンスタンチン」です。街の人々は彼に餌を与え、街のマスコットとなったコンスタンチンを優しく見守っていました。

 

YouTube/«Телеграф-ТВ»

事故から7年が経ったある日、コンスタンチンの物語に終止符が打たれました。その日、いつものように近所の人がコンスタンチンに餌をやりに行くと、そこにコンスタンチンの姿はありませんでした。

トリアッチに住むナタリア・ムロメッツさんは当時の雰囲気を次のように語っています。

「みんながコンスタンチンのことを知っていた。今どき、あんな忠誠心はなかなか見る事ができない。だからコンスタンチンがいなくなってしまったとき、私達は心の中で何かがひっくり返ってしまったような気持ちになったの」

数日後、悲しい知らせがトリアッチの町の人々のもとに届けられました。森の中で冷たくなったコンスタンチンの亡骸が見つかったのです。

皆が愛したマスコットがいなくなってしまったことで、どこかぽっかりと穴が開いたように寂しくなってしまった、とトリアッチの人々は言います。記念碑を建てる案が持ち上がったのはその為です。2003年に完成した忠犬コンスタンチンの像は、今ではトリアッチの街のシンボルとなっています。道路脇、コンスタンチンが毎日いたのと同じ場所に銅像は立っています。コンスタンチンは、死後も私たちに愛と真の忠誠心のについて教えてくれます。

ru.wikipedia.org

道路脇で車を追いかけるコンスタンチンの様子を捉えた動画があります。(ロシア語音声のみ)

コンスタンチンの銅像を一目見ようと今ではロシア中から観光客が訪れます。今では、縁結びの効果があるとか、鼻をこすると願いが叶うなどの噂もあります。また、2015年にはコンスタンチンの物語を題材にした映画の製作がロシアでスタートしたそうです。 ロシア版「忠犬ハチ公」、コンスタンチンの忠誠心にあなたも心奪われたならシェアしてください。天国でコンスタンチンは、きっと飼い主と再会を果たしたことでしょう。もう、涙が出そうです!