銃乱射事件、銃撃された男子学生が最後の力を振り絞って友人の女の子を助けた

レイシーは将来は人を助ける仕事に就きたいと願い、2015年6月に高校を卒業し、夢を胸に秋に大学へ進学しました。 しかし、大学に入学してから数日後の10月1日、レイシーは大学のキャンパスで起こった悲劇的な事件に巻き込まれてしまいます。そのとき、近くにいた同級生の男子生徒がレイシーを守るために見せた勇気ある行動が事件当時話題となり、今でも多くの人の涙を誘っています。

牧師の娘レイシー・スクロギンズは、アメリカ・オレゴン州のサザリンに住む典型的なティーンエイジャーでした。フットボール観戦を楽しみ、キャリー・アンダーウッドの音楽を聴き、休日は子馬のときから育ててきたタッカーと一緒に過ごし、父の教会での行事にも積極的に参加していました。

子供の頃から奉仕の精神に溢れる子だったというレイシーは、とても世話好きで、地域の恵まれない人たちを助ける多くのボランティア活動に参加していました。

ウンプクア・コミュニティー・カレッジに入学したレイシーには、大きな目標がありました。それは看護プログラムに入って将来的には外科医になることです。レイシーの夢は、多くの人の命を救うことでした。

昨年の10月、それは学期が始まってから僅か4日目のこと、大学のキャンパスは恐怖に包まれます。レイシーはそのとき、文芸のクラスを受けていました。突然、鋭い発砲音が響き渡り、生徒たちが状況を飲み込む間もなく混乱しているところに銃を持ったクリス・ハーパー-マーサーが入ってきたのです。次の瞬間、ハーパー-マーサーは2発を発砲。教授が倒れると、今度は生徒たちに向かって銃を乱射しはじめました。

レイシーは床に突っ伏し、これは何かの訓練に違いないと願いながら息を潜めていたといいます。ハーパー-マーサーは生徒1人1人に信仰する宗教を尋ね回り、キリスト教と答えた学生たちを1人ずつ撃ち殺していきました。生徒たちは恐怖し、身を寄せ合いながらハーパー-マーサーから後ずさります。すして、レイシーのすぐ横で大きな破裂音がしました。

そのとき、横に座っていた高校からの同級生トレヴェン・アンスパックが撃たれてしまったこをレイシーはすぐさま察したと言います。

その後起きたことを、レイシーの父で牧師のランディー・スクロギンズが語っていました。

「レイシーはトレヴァンの身体が自分に覆い被さるのを感じたといいます。床に伏せていたとき、トレヴァンも同じ方向を向いて伏せていたそうです。撃たれたトレヴァンの血が流れてくるのを感じ、彼の喉から空気と血の混じった音も聞いたと言っています。撃たれた後、トレヴァンはレイシーに近づいてきて、自分の身体をレイシーに乗せたんです。

『その時、頭の上で起き上がれって声がきこえた』とレイシーは言っていました。

レイシーはあまりの恐怖に固まって動くことができませんでした。ハーパー-マーサーが近くにいた他の学生に『こいつは死んでるのか?』と尋ねるのを聞いたといいます。

その学生が『分からない』と答えると、ハーパー-マーサーはレイシーを飛び越え別の誰かに向かって銃を発砲したそうです。

トレヴァンの血が、私の娘の命を救ってくれました。今ここに座ってはっきり言えるのは、トレヴァンはこれからずっとスクロギンズ家のヒーローだということです」

トレヴァンが瀕死の息の中でレイシーの上に覆い被さってくれなかったら、レイシーは撃ち殺されていたかもしれません。

スクロギンズ牧師は事故後にトレヴァンが娘にしてくれたことを知り、トレヴァンの母親に電話で感謝の気持ちを伝えました。トレヴァンの母親は次のように言ったといいます。「私が望むのは、これから毎日あなたが自分の娘をハグして、キスして、愛し続けること。私たちはきっと繋がっているんだと思う。あなたが彼女をハグするたびに、私は息子をハグしているわ」

レイシーの生活はやがて少しずつ平静を取り戻しつつあります。数ヶ月後の週末には、母親と姉妹たちとネールサロンに出かけられるほど元気になりました。それは好きな人や友達と時間を過ごすことや、トレヴァンや他の犠牲者惜しみつつも、前を向いて生き続けることです。

レイシーは、学校に戻って看護プログラムにも入りました。今彼女が生きているのは、同じ大学であの日たまたま同じ授業を受けていたクラスメートのおかげです。

繰り返された銃の乱射事件にアメリカは悲しみに包まれました。しかし最も暗い時でさえ、トレヴァンが死の間際に見せてくれたように、きっとそこには救いの光もあるということを信じることも大切なのかもしれません。

トレヴァンのしたことが、どうか多くの人の記憶に残りますように。 

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