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不治の病に苦しむ女性はこの「マシン」の中にそっと横たわった。1分後、その様子を見届ける家族の目から涙があふれた。

不治の病を抱えた時、病気で耐え難い心身の苦痛に苛まれた時、人は自らの命を立つ権利があるのか、否か。安楽死は今でも世界中で盛んに議論が行われているテーマのひとつです。

そんな2017年11月29日、オーストラリア南東部のビクトリア州で安楽死を合法化する法案が可決したのを機に、同じくオーストラリア出身のフィリップ・ニチキ医師が発表した自殺幇助機「サルコ」が話題を呼んでいます。

Twitter@philipnitschke

まるで宇宙船のような外観をしたサルコは、最先端技術を駆使し、利用者が苦痛なく速やかに安楽死を迎えることを約束するマシンです。サルコのベース部分には人が一人やっと入れるサイズの半透明の取り外し可能なポッドと液体窒素が備え付けられています。

利用者はポッドの中に横たわった後、備え付けのボタンを押します。そうするとポッドの内部に窒素が送り込まれ、酸素濃度が5%にまで低下するため、利用者は1分以内に意識を失い、数分もたたないうちに死亡するそうです。ニューズウィーク紙とのインタビューで開発者のニチキ医師は「サルコを使った安楽死は、他の方法に比べて無痛に近い」と答えています。

その後、利用者の遺体が入ったポッドは取り外して棺としても利用可能だそうです。ニチキ医師はさらにサルコの3D設計図をオープンソースで無料公開すると発表しており、「3Dプリンターで印刷して、どこでも組み立て可能なように設計してある」とプレスリリースの中で説明しています。

現在世界で医師など、他人による積極的安楽死を認めている国や地域はスイス、オランダ、ベルギーやアメリカ、オーストラリアの各州など12に及び、これからその数は増加の一途をたどるであろうと言われています。

安楽死は果たして人権なのか、それとも単なる自殺行為なのか。脚本家の橋田壽賀子さんが「私は安楽死で死にたい」と宣言したことがまだ記憶に新しいですが、もしかしたらこの議論に正しい答えはないのかもしれません