飼い主の命をオオカミから救った16歳の忠犬

「メイソン」こと、スティーブ・メイソンは、ハスキー、ラブラドール、ロットワイラーの血を引く、焦げ茶の美しい毛並みを持った雑種の大型犬でした。 やさしい穏やかな性格で、体は丈夫で力強く、飼い主に従順でとても忠実な犬でした。これは、メイソンの勇気と犠牲の物語です。

Imgur/Iwillnotfearfearisthemindkiller

メイソンの飼い主の女性は、豊かな自然に恵まれた山岳地帯に暮らしています。森の中を歩く際の相棒兼用心棒となってくれる犬を探していた彼女は、16年前に子犬のメイソンと出逢いました。他の子犬が声を上げながらはしゃいで遊ぶ傍らで、メイソンは一匹で辺りの草花の匂いを嗅ぎながら散歩しているような非常に落ちついた子犬でした。この仕種に釘付けになり、心を奪われ、女性はメイソンを引き取ることを決めたそうです。

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以来、女性が登山やハイキングに出掛けるとき、彼女の足元にはいつもメイソンの姿がありました。愛犬をつれてこれまで数えきらないほどの山を登頂してきました。

メイソンには、山道を進みながら、飼い主を振り返る度に片耳をひょこっと上げる癖がありました。その飼い主を鼓舞するような愛らしい仕種に、女性は何度も勇気づけられ、慰められ、救われてきました。

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自宅にいるときは、段ボールや木の枝を破壊するのがメイソンのお気に入りの遊びだったといいます。

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しかし、メイソンもやがて高齢期を迎えます。14歳を過ぎたころから、老化は加速して進んでいくように感じられました。体力が衰え、筋肉が落ち、足腰が弱り、長時間外で活動するのも月を追うごとに難しくなっていきました。

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16歳になったメイソンが、聴覚や視覚の著しい衰えに伴い、平行感覚を失いつつあることに気づいた飼い主は、愛犬との別れの時が近づいてきたことを悟ります。安楽死の選択肢は考えられないように思えましたが、老いによって苦しむ愛犬を楽に逝かせてあげる方法を検討せざるを得ない事態がやってくることは覚悟していました。

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しかしメイソンは安楽死ではなく、思いもよなる形でその最期を迎えることになります。

2016年3月5日、メイソンは飼い主とともにいつもの朝の散歩に出掛けました。飼い主の女性は、ときどき立ち止まって他の若い犬たちのスピードについていけないメイソンを待ち、休み休みゆっくりと山道を進んでいきました。メイソンが年老いてからは、女性も遠出はしなくなっていました。メイソンでも疲れない、そのルートを犬たちと毎朝歩くのが彼女の日課でした。

しかしその日、女性は突然背後に異様な気配を感じます。振り返ると、200メートルほど離れた場所に動物のシルエットが見えました。その視線はまっすぐ彼女と犬たちに向けられていました。

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女性は目を疑いました。彼女と犬たちの一行の後をつけていたのは、野生のオオカミだったのです。驚いたのも無理はありません。この辺りでのオオカミの目撃はここ15年間ほど報告されていなかったのです。

女性は家へと続く道を犬を急ぎましたが、気づくとオオカミは今にも襲いかかってきそうな姿勢で彼女の目の前に立ちはだかっていました。

オオカミは女性の腰辺りまで体高があり、思わずみとれてしまうほどの美しさだったといいます。しかし肉体はやせ細り、長いこと何も食べ物を口にしていないことは明らかでした。

「彼女は怯えていた。それでも心は決まっているようだった。そして、とても飢えていた」女性は振り返ります。

オオカミは突然襲いかかります。狙ったのは若い子犬たちでした。オオカミは子犬の一頭に牙を向けた瞬間、メイソンが子犬の前に飛び出し、オオカミの攻撃を阻止したのです。女性は隙を見て子犬たちをオオカミから離すように自分に引き寄せます。そして、目の前で繰り広げる血みどろの争いを、なす術もなく見つめていました。大きな体を持つ獰猛な野生動物は、年老いた犬には勝ち目のない相手でした。そして数分も経たぬ間に、オオカミはメイソンの首に噛みつきました。メイソンは間もなく生き絶えました。

16年間連れ添った親友を目の前で殺されてしまった女性はそのとき、激しい怒りの気持ちとオオカミに対する強い殺意が沸き上がるのを感じたといいます。

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しかし、オオカミが愛犬を食いちぎるのを見つめながら、その怒りの気持ちはすぐに消えていきました。飢えたオオカミが生きるために必要なことをしたまでだということを理解したのです。それに女性には、子犬たちを危険にさらしてまで、オオカミに立ち向かう気持ちはありませんでした。メイソンの遺体とオオカミを残し、女性は子犬たちを連れて静かに、涙ながらにその場を去りました。

数日後、女性は愛犬を殺したオオカミの姿を写真で目にすることになります。それは、地元当局が警告を発する為に配布していたものでした。写真の中のオオカミの姿を見て、女性はふたたびその野生の美しさに心を奪われずにはいられませんでした。

長年の相棒を失い、心に大きな穴が開いてしまった女性でしたが、メイソンが自然環境が豊かな山の中で育った忠犬にふさわしい最期を遂げたと感じているそうです。

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愛犬を目の前で殺されるのを目撃したのは、一生忘れることができないほど恐ろしく、悲しい出来事でしたが、女性の心には同時に愛犬の見せてくれた勇気と犠牲が刻まれています。結果として飼い主と他の犬たちを救ってくれたメイソンに、女性は感謝しきれないといいます。メイソンの魂は、山々に迎えられていると信じているそうです。

出典

Paw my gosh

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