【殺人率世界一の国で】邦人がスラムの子供のために作ったものは、生ぬるいものではなかった。心揺さぶられずにはいられない。

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世界一治安が悪いと言われている中米の国、ホンジュラス。殺人発生件数は日本の400倍と推定され、その治安の悪さの裏には、北米にコカインを密輸しようと企てる麻薬組織や軍事クーデターの存在があると言われています。そのスラム街で暮らす子供達の生活は、想像するだけで恐ろしいものです。時には、家族から捨てられ、貧しさから犯罪に手を染めざるを得なくなることも。そんなホンジュラスのスラムに生まれ育った子供たちに、救いの手を差し伸べ続ける日本人の若者がいることを、ご存知でしょうか。

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彼の名前は、藤山森。30代前半にして、非営利団体 SHH (Students Helping Honduras)の代表を務める日本人です。彼は神奈川県に生まれた、ごく普通の日本人の少年でした。父親の仕事の関係で、一家でアメリカ合衆国バージニア州に移住するまでは。

彼の人生は、ここから、普通の日本人のそれとは違う奇跡に一歩一歩近づいていきます。そう聞くと、まるで藤山さんがアメリカで楽しい高校生活をエンジョイし、そのままトップの大学に進学して志を共にする仲間たちと一緒に非営利団体を立ち上げたかのような印象を受けるかもしれません。しかし真実はその真逆、藤山さんにとってのアメリカ生活の始まりは、地獄そのものでした。 

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文化の違い、言葉の違い、肌の色の違い…体があまり大きくなかったこともあり、藤山さんはクラスメイトから壮絶なイジメを受けます。口での罵倒はもちろんのこと、時には肉体的に痛めつけられることもあったそうです。そんな中、ある一人の正義感の強いクラスメイトが、藤山さんのことを身を呈して守ってくれました。その行為は藤山さんの心に強く響き、「自分も誰かを助けてあげられる人になろう」と心に誓いを立てます。

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そんなある日、藤山さんはある恐ろしい現場に居合わせます。ある女性が、男性から集団暴行を受けていたのです。「助けて!」という声を聞きながらも、恐怖から足はすくみ、藤山さんはその場から黙って立ち去ることしかできませんでした。「誰かを助けてあげられる人間になろうと誓ったのに…」藤山さんの悔しさは、想像を超えるものだったに違いありません。

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時は流れていきます。その時の悔しさを胸に秘めながら、藤山さんはそのままアメリカの大学に進学します。そして、ふとしたきっかけで、ホンジュラスでのボランティアに参加することに。そこで出会ったのは、劣悪な環境下で暮らしながらも、たくましく生きるストリートチルドレンたち。藤山さんの心の中に、「この子達のために何かしてあげられないだろうか」という感情が芽生え始めます。

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その気持ちが決定的なものになったのは、カルメンちゃんという少女との出会いでした。カルメンちゃんはオレンジを売っているスラムの子で、藤山さんは、彼女を助けてあげたいという気持ちから、いつもたくさんのオレンジを彼女から買っていました。そうしているうちに、2人の間には強い絆が生まれていました。

ある日藤山さんはカルメンちゃんから、彼女の夢を描いた手紙を受け取ります。『いつか、友達みんなと、安全で壊れない家に住んでみたいな。』その瞬間に、「何か行動を起こさなければ」という藤山さんの気持ちに火がつきました。過去に経験した、助けを必要としている人を救えなかった悔しさをもう味わいたくないという気持ちもあったはずです。

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藤山さんは、アメリカに戻り、学校に通うかたわら昼夜を問わずアルバイトを重ねました。同時に非営利団体 SHH (Students Helping Honduras) を立ち上げ、3年で3000万円の募金を集めることに成功します。そしてついに2006年、藤山さんはホンジュラスに、とてつもなく壮大なものを作り始めるのです。

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それは、『村』そのものです。藤山さんは、集めた資金でホンジュラスに土地を買い、カルメンちゃんが暮らしていたスラム街の人々と力を合わせ、ひとつの『村』を築き始めます。3年の月日をかけ、上下水道や電気設備の整備、家屋や学校の建設を行い、ついに住人が力を合わせて作り上げた村『ソレアダ村』が完成します。その中には、カルメンちゃんが手紙の中で描いていた、コンクリート製の家もありました。

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現在も圧倒的なエネルギーでSHHの代表としてホンジュラスを助ける活動を続けている藤山さん。ホンジュラスに学校を1000校建てる、それが藤山さんの今の夢です。子供達が適切な教育を受けることができれば、正しい道を自分の力で見つけ出せるようになるからです。

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人生は、予測不可能なことの連続です。藤山さんの歩んだ道は、素晴らしいことも困難なことも、強い意志さえあれば、すべて意味のあることに変えることができると教えてくれます。この若き日本人の挑戦は、まだまだ続いて行くでしょう。

SHHのfacebookページでは、募金活動も行なっているようなので、この話に心動かされた方は、支援の手を差し伸べてみてはいかがでしょうか。

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