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ジーンとくる話

旅行に連れて行けないから殺して下さい:広島では正月をゆっくり過ごしたい人間の都合で犬猫が全頭殺処分される。

犬猫の殺処分は年末に増えるということを知っていますか?環境省の発表によると、2016年度に全国で殺処分された犬猫の数は計5万5998頭。2004年度の数が39万4799頭だったのを見ると12年間で殺される犬猫の数を6分の1に減らす事に成功していますが、それでも1日平均150頭以上の罪もない犬猫が今も殺されてるのです。

なんの罪もないペットたちは、保護施設に到着すると通常3日から1週間の保管期間を経て、ドリーム・ボックスと呼ばれるガス室で二酸化炭素による窒息で苦しみ悶えて非業の最後を迎えます。

とりわけ年末は保護施設に持ち込まれる犬猫の数が増加します。こうした動物たちは大掃除に処分する不用品と同じように、心無い飼い主に遺棄されるのです。その理由の多くは「帰省するけど連れていけない」、「旅行に行くから処分したい」といった理不尽なものがほとんど。しかし、年末に殺処分数が増えるのは犬猫を捨てる飼い主のせいだけではありません。

県営や市営の動物愛護センターは正月期間中は長期休暇に入るため、収容された犬や猫の世話をするスタッフがいなくなります。通常それを理由に休みに入る前に全頭を殺処分し、センター内に犬や猫がいない状態でお正月を迎えることになっていたそうです。「正月をゆっくり過ごしたいから」といった人間の勝手な都合で、彼らの命は失われていくのです。

ドリームボックスの入り口

Facebook/yuhuko

そんな犬の殺処分に叛旗を翻したのが広島県に本部を置く認定NPO「ピース・ウィンズ・ジャパン」の「ピースワンコ・ジャパン・プロジェクト」です。このプロジェクトは2020年の東京オリンピックまでに日本の犬の殺処分をゼロにするという目標を掲げ、2011年度に犬猫の殺処分数で全国ワースト(合計8,340頭)を記録した広島県において、2016年4月以降殺処分対象犬を全て引き取ることで殺処分ゼロを実現している活動です。

今日はみなさんにそんな「ピースワンコ・ジャパン」のある動画をご紹介します。この動画は広島県動物愛護センターへ運ばれてきた殺処分対象犬たちを「ピースワンコ」のスタッフが引き取りに行く場面から始まります。野犬とみられる、不安げな表情を隠しきれない様子の白い一匹のワンコ。余程人間の事が怖いのでしょう、スタッフが触ろうとするとその手に噛み付いてこようとします。

Youtube/PeaceWankoTV

しかしそんな子達もなんとか収容ボックスに入れて保護施設へ連れ帰ります。そこで一匹づつ病気や外傷がないかなど健康検査を行い、混合ワクチンを打ちます。カルテも作成し、写真撮影を行い、名前をつけます。

Youtube/PeaceWankoTV

スタッフの方曰く保護犬の約9割が野犬で、残り1割がよく噛む、吠えるなどの気性難を抱えた犬だそうで、そういった保護センターでは貰い手の見つかりにくい殺処分対象犬の最後の受け皿としての役目を果たしているとのことです。

Youtube/PeaceWankoTV

2016年4月から稼働を停止している広島県内の動物愛護センターのドリームボックスが2度と稼働を再開しないように…。「ピースワンコ」のスタッフはそれだけを願って日々活動を続けています。しかしそのためには我々一般市民からの支援は欠かせません。非営利団体として募金を最大の収入源としている「ピース・ウィンズ・ジャパン」は、現在「ふるさと納税」を通じて支援を募っています。ふるさと納税とは、自治体への寄附金のことで、個人が2,000円を超える寄付を行った際、住民税のおよそ20%程度が還付、控除される制度です。詳しくはこちらをご参照ください。

Youtube/PeaceWankoTV

今年もあとわずかとなりました。来年2018年は戌年です。やむを得ない理由で飼っていたペットを手放さなくてはいけなくなってしまった飼い主の方も中にはいらっしゃると思いますが、理不尽な理由で棄てられ、失われる命をこれ以上増やさないためにも「ピースワンコ」の活動の一助になってみてはいかがでしょうか。

そんな「ピースワンコ」の愛護センターからの「保護犬引き出しの様子」を映した動画はこちらでご覧いただけます。