ドイツ人写真家が見た「悲惨」な東京の通勤ラッシュ

長年ドイツの新聞雑誌の専属フォトグラファーを務めていた報道写真家、ミヒャエル・ウフル氏が、アーティストとしての活動を始めたのは彼が47歳になったときのことでした。 ほどなくして、彼の作品は世界的に注目を集めることになります。

90年代半ばから香港を拠点にしているウルフ氏は、子供時代を過したアメリカや母国ドイツ、中国や日本などアジアの大都市をテーマに、その中に存在する「日常」の実態を探る作品を発表し続けています。中でも東京の通勤ラッシュを取り上げた『東京コンプレッション(圧縮)』と題されたシリーズは、彼のスタイルを強く印象づける作品となりました。

連日ラッシュを目指して駅に90日間通い続け、その後も幾度となく日本を訪れたウルフ氏、写真集完成までの4年間、彼は次々と入っては出て行く電車と人々を見続けていました。強烈な印象を残す、窓に押し付けられた人々のポートレートをご覧ください。

ウルフ氏が捉える人々の固まった表情は奇怪な雰囲気を作り出し、普段見慣れているかもしれない光景から切り取られたものを眺めていると、改めてその滑稽さや異常さが見えてくるようです。多くの人にとっては日常である満員電車での通勤についてウルフ氏は「悲惨な生活だ」とコメントしています。

国土交通省が公表している都市鉄道の最混雑区間における混雑率データによれば、関東エリアで運行している全84路線中、朝のラッシュアワー時に平均して150%を超える路線は実に46路線もあることが確認されています。現在のワースト2位は、混雑率199%のJR東日本総武線(緩行)錦糸町〜両国区間7:34~ 8:34の間。1位は、200%の東京地下鉄東西線木場〜門前仲町区間7:50~ 8:50の間です。我慢は朝の数十分だけで、昔に比べると随分と緩和されたという意見もありますが、他人と身体を密着させて狭い空間に押し詰めらる通勤生活にうんざりしている人は少なくないでしょう。これがどうしようもない状況であるのも、また事実です。

「作品を見る人には、『こんな生活で生きるかいがあるだろうか』と思いをめぐらせてもらいたい」そう語るウフル氏の東京の描写に、あなたは何を思うでしょうか。

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