アシッドアタック ー 顔に酸をかけられた美女の記録

ラクシュミ・アガルワルは、インド・ニューデリー出身の27歳の女性です。15歳のとき、ラクシュミの人生はガラリと変わってしまいました。 当時、兄の同級生の32歳の男からの求婚を断わったラクシュミは、それが原因で報復を受け、その男から顔に酸をかけられたのです。ラクシュミは11年前の出来事を今でも鮮明に記憶しています。「最初は冷たかった。でもすぐに激しい熱を感じて、自分の顔が溶けていくのを感じた」その時とっさに腕で顔をかばったことで、ラクシュミは失明を免れました。

Facebook/Sonamm Gill

10週間の入院中、ラクシュミは顔の皮膚を全て取り除く治療を受け、退院後も数え切れないほどの手術を受けました。少しずつ傷は癒え、顔や腕の傷みも和らいでいきましたが、周りの冷たい反応が一番苦痛だったとラクシュミは言います。

「親戚にさえ『会いたくない』と言われた。友達にも。8年間も自宅に引きこりの状態で、家を出る時には必ず全身を覆ってから出掛けていた。加害者の男は僅か1か月の拘束後、釈放されていた。仕事もを探したけど、雇ってくれる人はいなかった。『客が君を怖がるから』て言われたの」

やがてラクシュミは、彼女と同じ苦しみを抱える「アシッド・アタック(酸攻撃)」の被害者たちに会うようになります。アシッド・アタック被害はインドで珍しいことではありません。原因は嫉妬や、女性にプロポーズを断られた、花嫁持参金をめぐる衝突など、報復・復讐のため、相手の女性の外見を破壊ししようという執念をもって実行されます。インドでは、年間1000件以上が報告されていますが、実際の被害はこれを大幅に上回ることが考えられます。多くの女性は、「恥」から被害を訴えないことが殆どなのです。

このままではいけないと考えるようになったラクシュミは、顔を隠すのをやめて人前に出ることを決意します。彼女は、酸の販売規制とアシッド・アタックに対する刑罰のを厳格を訴える活動に参加するようになりました。

ラクシュミの言葉は、少しずつ広まっています。今ではファッションレーベル「Viva N Diva」の顔を務めるほど、彼女の存在は地域の人々に知られるようになりました。サリーの製造を主に行なうこのメーカーの創設者は、次のように語っています。

「彼女に出逢ったとき、人の美しさを別の視点がら見ることができた。その気持ちを大切にしたいと思った。女性たちから『被害者』というレッテルを消し去り、仕事や、活躍の場を提供したい。アシッド・アタック被害にあったからといえ、人生は終わりではないということを社会へ伝えていきたいと思っている」

ラクシュミに酸を投げつけたナヒーム・カーンはその後再逮捕され、7年の求刑を受けました。同じ頃、ラクシュミにはアロック・ディグジットとの素敵な出逢いがありました。アロックは「ストップ・アシッド・アタック」キャンペーンの創設者で、現在はラクシュミの最愛の夫です。2人の間には娘のピフがいます。

「ラクシュミに愛を見つけた。彼女がアシッド・アタックの被害者であることは見れば分かることだけど、僕らの関係にそれはあまり関係ない。僕は彼女の勇気に惹かれたんだ」

2人は共に、アシッド・アタックの被害者を支援する活動を続け、被害者女たちの社会的疎外と戦っています。

ラクシュミは、アシッド・アタックを生き延びた多くの女性被害者に勇気を与えています。一生残ってします傷や、社会的な烙印と向き合うのは簡単なことではありません。ラクシュミは外見の美しさを襲われても、怯える必要はないということを訴え続けています。若い母親は次のように語っています。

「そう子供の頃からそう教えられていたとしても、人生で一番大切なのは綺麗な顔ではない。私を見て、アシッド・アタックの被害者の私を。私は戦うことで、考え方を変えることができた。それは加害者に対する一番効果的な罰だと思うわ」

見習うべき、素敵な女性ですね。

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