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ジーンとくる話

リードを外された犬が走り寄ってきた。その直後、悲惨なことに。

イギリス、ロンドン在住のトニー・ドール(75)がメイジーを引き取とったのは8年前のことです。妻を亡くした2日後にやってきた子犬のメイジーは、彼の心に空いた穴を埋めてくれました。

昨年4月のある日、トニーはメイジーを連れてバッキンガム宮殿前の公園を散歩していました。しかしそこへ突然リードをつけていない犬が現れ、牙をむいてメイジーに襲いかかってきたのです。トニーは必死になってその犬を引き離そうとしましたが、犬はメイジーに噛み付いて離そうとしません。結局この犬を落ち着かせることができたのは、後からやってきたその犬の飼い主でした。

この状況でその飼い主がとった行動はあまりにお粗末なものでした。彼はトニーに謝罪もせず、連絡先も残さずに去ってしまったのです。

メイジーはその後一ヶ月間、傷跡に苦しみ続けました。家族は手を尽くしましたが、傷が原因の感染症で息を引き取りました。

トニーは悲嘆に暮れました。そんな父の様子に居ても立ってもいられなくなった娘は「Dog Owner Etiquette – Justice for Maisie(犬の飼い主のエチケット – メイジーのために)」というFacebookページを開設。ページの目的は、メイジーに怪我を負わせた犬の飼い主を見つけることです。

「メイジーを殺した犬の飼い主へ

これを見て。これは、妻を亡くした70代の、視力、聴力、健康さえ失いつつある男性にあなたがしたことよ。この人と私がメイジーを引き取りに行ったのは、彼が妻を亡くした2日後のことだった。その時に亡くなったのは私のママ。そしてこれは私のパパ。そのパパの心を、再びあなたが引き裂いた。

あの日あなたはバッキンガム公園で、犬のリードを外してもいいと思ったかもしれない。でもあなたの犬は2度もメイジーの首元に噛み付いた。反撃することもできない4kgの小型犬のメイジーは、パパにとって全てだった。あなたのしたことは間違っていた。

あなたは、パパがあなたの犬を2回も引っ張ったことを責めてもいいと思ったかもしれない。でも目が悪いパパは下手すればあなたの犬に噛まれていたかもしれないし、そうすれば抗凝血の薬を飲んでいるパパはその場で失血していた可能性もあった。あなたのしたことは間違っていた。

連絡先も渡さずにその場を逃げたことは、たいしたことではないと思っているかもしれない。あなたの犬がパパの犬を傷つけたにも関わらず。あなたの犬がパパの犬にしたことを、あなたの保険でカバーする必要があったにも関わらずに。

あなたはその点で、とてつもない勘違いをしている。

あなたはもう私が目撃者や情報を求めて出した広告を目にしているかもしれない。無責任な飼い主に飼われている、小さくて白っぽい犬を探しているという広告を。あなたは謝らずに、正しいことをせずに、悲しみと恐怖で混乱する老人を公園の真ん中に置き去りにした。何が正しいことかあなたには分からなかったのかもしれない。もしくは全てを承知した上で、何もしないことを選んだのかもしれない。

私たちは、あなたの犬を傷つけたいなんて思ってはいない。それは違う。でもあなたの犬がリードを付けていない状態で、誘発なしに突然他の犬を襲い続けるのであればあなたの元から離してあげたほうがいい。攻撃の相手が犬に限られないのであれば、特に…。あの時襲われたのは小さな子どもだったかもしれない。

飼い主のエチケットというものがあるの。まともな飼い主であれば、自分のペットに対して責任を持たなくてはならないことくらい分かっているはず。車の運転と似ているかもしれない。あなたの車が別の人の車を傷つけたら、車の持ち主同士で連絡先を交換するのは義務よ。第三者損害賠償責任保険はそのためにあるの。ペットのための保険だってちゃんとあることを知ってた?保険に加入していなかったの?自分で支払うのが怖くなったの?

あなたはきっと何も知らなかったのね。そうでしょう?あなたの間違い、あなたのお粗末な判断力のせいよ。今回が初めてだなんて言わせない。そうでないことはわかっている。あなたの暮らす近所の人たちもきっと知っている。あなたが犬のリードを外して自由に走らせたおかげで大切な命が失われた。パパはこんな悲しみを受けるいわれはなかった。メイジーもあんなに苦しむ必要はなかった。一ヶ月間も感染症に苦しみ、手術を乗り越え、敗血症、やがて臓器の機能停止で命を奪われるいわれはなかったの。パパもメイジーの世話を続け、弱っていくのを見守り続ける必要はなかった。パパは痩せた。パパとメイシーはお互いに別れる準備もできていなかったのに、さようならを言わなくてはならなかった。

私もパパが苦しむのを見たくなかった。私はメイジーが入院した時に電話口で泣くパパの声を聞いたり、あの子がもう家には帰ってこれないかもしれないとパパに伝えなくてはならなかった。彼の苦しみを和らげることができなかったし、自分は無力だと感じた。ママが死んだとき、パパは私が棺桶と一緒に地面の穴の中に入ったのを覚えている。私たちは皆、当時の悲しみに暮れていた時期の記憶を蘇らせている。そしてメイジーの存在がどれだけ救いであったかも。

メイジーがもう助からないということをパパに伝えたとき、彼は子どものように泣きながらメイジーを抱いた。そして助けてあげられないことを謝った。これから寂しくなるって。ずっと忘れないって。そしてメイジーのお気に入りのぬいぐるみを、メイジーの側に置いた。毎日メイジーが一緒に寝ていたぬいぐるみは、今もメイジーと一緒に眠っている。

パパからこの犬を奪っていいわけなかった。メイジーは死ぬべきじゃなかった。
あなたの判断がもたらした結果よ。

あなたの犬がしたことに対して、あなたは責任をとる必要がある。公共の場では犬を自由に行動させないで。訓練に連れて行って。そしてリードから絶対に放さないで。自分の犯した間違いを認めて、連絡先を送ってきて。本当に・・・2度と同じことが起こらないようにして。誰かが私たちと同じ思いをしなくて済むように。

この喪失は、あなたに責任がある。この痛みもそう。今晩、あなたが眠る前にこの写真を見てくれることを願っている。
 
あなたは間違いを犯した。
責任を取って。お願い。」

トニーの悲しみを考えると、心が痛みます。あなたはこの投稿に何を思いますか?