路上生活を送っていたホームレスの男性と女性の友情

アメリカは世界最大の経済を有する一方、ホームレスの人々の数は50万人を上ると考えられています。 そのうち、4分の1は子供、6万人は退役軍人だそうです。

フィラデルフィアの街頭で暮らす、ジョン・ロホランもまた路上生活に転落してしまった退役軍人のうちの一人です。長い間頼れる存在もなく、街の人からも邪魔者扱いされてきたジョンは、路上生活を続けながら人に固く心を閉ざすようになっていったと言います。

ジョンはホームレスになってから、ジョンはさまざまな暴力にも直面してきました。通りすがりの人からの嫌がらせや暴行、拳銃を向けられたこともあります。また、不衛生な環境での生活が原因で、脚にできた傷が化膿して腫れ上がり、歩くのもままならない状態でした。ジョンは毎日車椅子を押して、街角の同じ場所に佇み道ゆく人々からお金を無心していました。

昨年の夏、ジョンは交通事故に遭います。道を渡ろうとしていた際に乗用車に衝突されたのです。しかし、運転手はそのまま逃走、ジョンは道路に叩きつけられた衝撃で背骨を負傷しました。痛みに耐えながら病院へ向かったものの、健康保険に加入していないジョンは2軒の病院から門前払いされてしまいます。ようやく3軒目の病院で、彼の状態の深刻さに気づいてくれた医師が名前を路上生活者向けの援助待ち名簿に加えてくれました。しかし、その順番を待つほど猶予がないほど、ジョンの容態は深刻であったことが後に判明します。

ジョンは背骨に負った怪我が原因で、足の自由を完全に失い、慢性的な激痛を抱えることになります。しかし彼には街頭以外、行くあてがありませんでした。失望もなければ希望もない、そんな諦めきった心境だったと言います。

ジョンがロリー・ガルヴィンと出会ったのは、ちょうどその頃でした。フィラデルフィアでロリーはフィラデルフィアで生まれ育った女性で、地元のホームレスの人々に食事や生活必需品、散髪などを提供している支援団体「ディグニティ・プロジェクト」の創設者でした。

ロリーに散髪をしないかと初めて声をかけられたとき、ジョンは断りました。人と話すことさえ、そのときのジョンにとっては居心地が悪くなる、極力避けたいことだったのです。

ロリーの目にジョンは「危険」に映ったといいます。ジョン自身が危険というわけではなく、彼の顔色や雰囲気から、助け無しではこの男性は長くは持たないと直感的に感じたと言います。そのため何度拒まれてもロリーは諦めることなく、ジョンを見つけては声をかけ続けました。

やがてロリーの明るく優しい言葉にジョンは警戒心と遠慮を解いていきました。そして散髪を受けることを承諾します。

それから数週間にわたり、ロリーとジョンは親交を徐々に深めていきました。これまで多くのホームレスの人々を支援してきたロリーでしたが、ジョンに対しては始めから特別な絆を感じていたと言います。やがてジョンもロリーや支援団体のスタッフに心を開くようになっていました。

ジョンが事故で背中と足が動かせなくなってしまったことを知り、ひどく化膿した脚の状態を確認したロリーは、団体を通して彼を助ける計画を固めます。このまま路上生活を続ければ、ジョンは命を落としてしまうかもしれないと考えたのです。

その後、ロリーに説得され病院を訪れたジョンは、すぐさま背中の手術を受けることになり、術後、脚の治療が開始されました。医療費は全てロリーの団体が集めた寄付金で賄われました。

新しい友人たちに支えられたジョンは、人と社会に対する信頼を取り戻すことができたと語っています。

こちらは、自分の脚で数歩踏み出せるまで回復を遂げたジョンです。

ロリーもジョンも、出会った頃はお互いにこんなに関係を深めることになるとは思っていなかったと言います。今では、悩みや心配ごとを共有できるほどの仲だそうです。

二人の心温まるエピソードは、その後地元メディアにも取り上げられました。

命を救うためには、誰かの人生を完全に変えてしまえるほどの献身的な援助が必要なこともあります。 一人でも多くの生活困難に直面している人々に、ロリーのような手を差し伸べてくれる存在が現れることを願うばかりです。

出典

Littlethings

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