教師と生徒の絆、教師であることの意味をあなたが教えてくれた

70年代にアメリカの雑誌に投稿された、ある小学校の教師の物語です。その教師は、ある生徒に自分が教師であることの意味を教わりました。

新学期が始まった日、ジーン・トンプソンは自分が担当することになった5年生のクラスを見回し、生徒たちを歓迎し、こう語りかけました。「私にとって、あなたたち全員がかけがえのない存在です。全員を平等に扱います」ジーンは毎年新しく受け持つ生徒たちにそう伝えるようにしていましたが、実際にはそれが無理なことであることはわかっていました。特に今年は、テディ・ストッダードが彼女のクラスに座っていることもありました。 

ジーンはテディのことを、以前にも学校で見かけたことがありました。テディはひとりでいることが多く、クラスメイトの誰にも心を開かず、いつも不潔な身なりをしていました。癇癪を起こすこともあり、それが原因で他の生徒たちからも敬遠されているようでした。教師としては常に監視を怠れないタイプの生徒だということは明らかでした。

学期が始まってから最初の数ヶ月、テディは成績も振るわず、ジーンは心苦しいながらも彼に最低レベルの採点や成績以外与えることができませんでした。

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やがてこのままではいけないと感じたジーンは、テディーの事情を知るために彼の1年生からの成績や評価に目を通し始めます。テディの資料に記されていた情報に、ジーンは自分の目を疑います。

テディーが1年生だったときの担任は、彼についてこう記していました。「友だち思いで、好奇心に溢れた明るい生徒。宿題も期限に必ず提出することができ、成績もトップで、礼儀正しく、クラスの雰囲気を明るくするには欠かせない」

2年生の記録は、「大変優秀で、他の生徒たちにも慕われている。しかしお母さんの病気が、少なからず彼に影響を与えている様子。家庭生活にも支障がでているよう」

3年生の記録は、「テディーは熱心に勉強を続けています。母親の死を経験し、何とか頑張ろうとしているが、心に大きなダメージを負っている。ます。残念なことに、父親の方はテディーにあまり関心がないらしく、責任感が希薄なため、何らかの措置を講じなければ家庭環境が彼に悪影響を及ぼす可能性がある」

4年生の記録は、「テディーは殻に閉じこもっているようで、授業に全く興味を示さなくなっている。友だちは沢山いるようだが、授業中の居眠り、始業時間に遅れてくることも度々ある。テディは今後、難しいケースになっていく可能性がある」

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テディの事情を知ったジーンでしたが、彼女に一体何ができるというのでしょうか。

このとき既に学期は半分を終えようという時期で、クリスマスも近づいていました。クラスで開いたクリスマス会では、生徒の多くがジーンにプレゼントを持ってきました。 色とりどりの可愛らしいラッピングペーパーに包まれたプレゼントの中に、一つだけ粗末な茶色い紙袋に入れられたプレゼントがあることにジーンは気づきます。

ジーンは生徒たちからもらったプレゼントをみんなの前で開けていき、やがて茶色い紙袋に手を伸ばしました。紙袋の中からプラスチック製の壊れたブレスレットと、半分使ってある香水の瓶を取り出したとき、生徒たちが笑い出しました。ジーンは騒ぐ生徒たちを制すると、きれいなブレスレット、と嬉しそうに声を上げて身に着け、香水を少し手首に付けてこすりあわせました。

その日の放課後、テディがジーンのところへやってきました。そして恥ずかしそうにこう言ったのです。

「先生、今日はお母さんと同じ香りがする」

そのとき、ジーンはテディの後ろ姿を見送りながら、涙をこぼしました。

テディーから美しい贈り物を受け取ったこの日以来、ジーンは勉強や成績だけでなく、生徒たちをより注意深く見守るようになりました。クリスマス休みが明けると、ジーンはは生まれ変わったような気持ちで新学期に臨みます。ジーンは特にテディを一生懸命勇気づけ、授業についていけるように気を配りました。すると、それに応えるように、テディの方にも変化が現れ始めたのです。以前は悲しみや孤独感で雲隠れしていた笑顔や明るさが蘇り、ジーンが応援すればするほど、テディーは元気とやる気を取り戻していくのでした。

その結果、テディはクラスでも一番を争うほど優秀な成績で小学校を卒業していきました。

それから1年後、ジーンは教員室のデスクの上に一通の手紙を見つけます。「先生は、僕が出会った中で一番素晴らしい先生でした」それは、テディからの手紙でした。

6年が過ぎ、ジーンはまたテディの手紙を受け取ります。「先生のおかげで、学年3位の成績で高校を卒業することができました。今でも僕にとってはトンプソン先生が一番の先生です。」

さらに4年後、ジーンは再び手紙を受け取ります。「大変でしたが、大学を首席で卒業することができました。これも、小学生の頃になかなか勉強に手がつかなかった彼にやる気を出させてくれたトンプソン先生のおかげです。」手紙は「先生は今でも僕の一番大好きな先生です」と、結ばれていました。

05152014- RFK School Student Art Exhibit opening

その4年後、ジーンは再びテディの手紙を受け取ります。「進学した大学院での学業は順調で、医学資格を授与されました」手紙の最後には「医学博士、ストッダード」とサインが記され、そしてやはり、ジーンが僕の生涯で出会った最高の先生だとも書かれていました。

その年の春、ジーンの元に結婚式の招待状が届きました。テディは女性と出会い結婚を決めたこと、父親が数年前に亡くなったことを報告し、さらにジーンに結婚式で新郎の母親の席に座ってほしいと書かれていたのです。

ジーンはテディのお願いを承諾します。結婚式でテディの母親が座るはずだった席に座ったジーンは、テディの母親の香水の香りを漂わせ、腕にはあのプラスチックのブレスレットが揺れていました。

テディはジーンに言いました。「先生、ありがとう。僕が自分の道を見つけることができたのは、先生のお陰でです」

ジーンはそれにこう答えたそうです。「テディ、違うわ。教師であることの意味を、あなたが私に教えてくれたの」

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出典

diply

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