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父と死の床に横たわる孫を写真に納めた女性

愛する人との死別はできることなら経験したくないもの。長く苦しい闘病生活の果てに死を迎える家族を前にしたら、できることなら代わってやりたいと誰もが思うはずです。

アリー・パーカーは愛する父がALS(緊縮性側索硬化症)の診断を受けたと聞いた時、目の前が真っ暗になったような気がしました。大好きな父に孫が成長していく様子を見せてあげることができないと知り、落胆します。しかし、その後さらに衝撃的な事実を知る事になります。

アリーはある日強い痛みを訴える娘のブレイリン(4歳)を連れて病院を訪れます。ブレイリンを診察した医師が下した診断は想像を絶するものでした。なんとアリーの娘は悪性の脳腫瘍に犯されており、直ぐにでも入院しなければならないと言うのです。

二重のショックに悲嘆に暮れるアリー。そして追い打ちをかけるように、なんとブレイリンの脳腫瘍には現在確立された治療法が存在しない事が判明します。それを知ったアリーは気が狂いそうになりました。2つの病が愛する父と娘の命を蝕んでいるのに、彼女に出来る事は1つもなかったからです。

ブレイリンの病気についてもっと知ってもらおうと、娘の現況をリアルタイムで家族や友人が確認できるFacebookグループを設立します。「これから数日後愛する娘を埋葬することになるでしょう。それから数ヶ月後、酷ければ数週間後には父も同じ運命を辿るのです」と赤裸々に語るアリー。

上の文章と一緒にアリーはベッドの孫の隣に座る父の写真をFacebookに投稿しました。悲しみにその顔は歪み、涙が滝のように彼の頬をつたいます。なぜ孫がこんな目にあわないといけないのか問いかけるアリーの父。この写真は彼の絶望と痛みを表しているだけでなく、アリー自身の気持ちを鏡の様に表しています。そしてこれが祖父と孫の最後の写真になりました。

1月16日、アリーはFacebookでブレイリンが永眠したことを告げます。「愛する可愛いブレイリンは今日、ピカピカ光るピンクの天使の羽をつけて天国へと飛んでいきました。私にとってブレイリンは戦士の様な強い心をもった可愛いお姫様でした。絶対に忘れないからね」

娘のブレイリンを救うことはできませんでしたが、アリーの家族は同じ病に苦しむ多くの人々を支援することを決意しました。アリーの妹は巨額なブレイリンの治療費と病気の研究のための支援金を集めるための募金活動を始めました。「私たちはこれ以上DIPGと呼ばれるこの病が幼い命を奪っていくことを許してはならないのです」とアリーの妹。

残された家族の気持ちは察するに有り余るものがあります。娘と父をほぼ同時に失ったアリーが友人や家族に支えられて元気を取り戻す日がいつかやって来る事を祈るばかりです。そしていつかブレイリンの尊い命を奪った病の治療法が確立されますように。