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狂気に満ちたこのゲームを「クリア」するために自殺する子供たち

私たちは現在、高度に情報化された社会に暮らしています。それはつまり、私たちが全員仮想的につながっていることを表していると同時に、反面現実の世界では皆が孤立してしまっているということを意味するものでもあります。この皆が目を背けがちな事実は、ときに子供を持つ親にショッキングな現実を突きつけることもあります。そしてほとんどの親が事態の深刻さに気づくときにはすでに手遅れとなってしまっているのです。

子供たちは(これは一部の親にも言えることですが)、より多くの時間を携帯電話やタブレットを覗き込むのに費やし、直接的な会話を持って健全な人間関係を築こうという努力を怠るようになってきています。 

その結果、子供たちがネット上でいじめに遭ったり、あるいは危険なソーシャルゲームに没頭していってしまうというケースが世界中で起きているのです。しかし、バーチャルな世界で起きるこのような出来事は、実際に目に見える形で何かが起きない限り親が気づいてあげる機会が非常に少ないというのが現実です。今回ご紹介するのはこのようなインターネット上でのゲームに関連してロシアで実際に起きた事件です。平和の象徴のようなクジラにまつわるゲームが、子供たちにとんでもない事態を引き起こしていました。

ロシア当局は、最近起きた130人もの若い子供たちの死について調査を進めていました。その結果判明したのは、どうやらネット上でのとある流行が彼らの死に関連しているということでした。このゲームは「ブルー・ホエール・チャレンジ」と呼ばれています。ブルー・ホエール(シロナガスクジラ)は、自らの死期を悟ると海上へと上がって自分から砂浜へと流れ着くという習性を持っているそうです。この行動から、シロナガスクジラは自分の死に場所を自分で決める動物として知られています。 

このゲームがなぜシロナガスクジラの名前を冠しているのか、それは自らが「進んで」死を選ばなければならないというものだからです。

子供たちは友人たちからの紹介づてでこのゲームに参加するようになり、そこで「管理人」を名乗る人物からゲームの注意点を聞かされるそうです。そしてゲームが開始してしまえば、あとは目的を達成するまでゲームから抜けることはできません。もし参加者が「未達成」の状態でゲームを止めることがあれば、管理人は彼らを脅迫し、彼らの個人データをさらす、あるいは彼らの家族に連絡を取る、といった言葉で彼らにゲームの継続を迫るのだそうです。

プレイヤーが注意事項に同意してゲームを開始すると、管理人は50日間、毎日「ミッション」を彼らに対して与えます。はじめのうちは、例えば1日中話してはいけないというものや、夜中に起きだしてホラー映画を一人で観る、などのたわいもないミッションが続きます。

しかし、管理人からの要求は次第にエスカレートしていき、例えば自分の皮膚に傷をつけてクジラの絵を描く、などのミッションもあるそうです。そして、この不気味なゲームの最後のミッションは、なんと「参加者は自殺しなければならない」というものだというのです。 

このゲームをプレイした15歳のユリア・コンスタンチノーヴァの事件は、ロシア国中を揺るがす大ニュースとなりました。ゲームのミッションをクリアするため、彼女は14階の建物の屋上から自ら身を投げたのです。彼女はシロナガスクジラの絵とともに自らのSNSにこう書き残していました。「ジ・エンド」、と。

子供たちを狂わせるこのゲームは、ロシアだけでなくイギリスやブラジル、コロンビア、チリといった国々でも報告されています。重要となるのは、やはり両親や社会がなんらかの形で子供たちの行動を把握し、彼らが使う電子機器の管理を行うことでしょう。

今年の4月の終わり、スペインのバルセロナに住む15歳の少女が精神病院へと入院しました。彼女がこの「ブルー・ホエール・チャレンジ」ゲームを行っていたところを両親が発見したからです。少女は電車に飛び込んで自殺を図ろうとしていたところ、幸いにもそのことに両親が事前に気づくことができたのだということです。

このような悪意のあるネット上での事件に巻き込まれる子供たちは、例えば精神的に問題を抱えていたり、あるいは問題行動を引き起こしがちな子が多い傾向にあるそうです。彼らは自分の居場所を常に探しており、自分に良くしてくれる人々や甘い言葉に流されていくからでしょう。 

子を持つ親にとって重要なことは、子供の生活にちゃんと向き合い、決してほったらかしにしないことです。そして、もしネット上でのいじめや暴力に巻き込まれそうになったら、親と子供がお互いにコミュニケーションを取りながら支援を求めていくことが必要となります。