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この若者が経験してきたことは信じがたい。私たちに連絡してた家族に代わり、その恐ろしさを伝えたい。

学校で起こるいじめは、どこの国においても深刻な問題となっています。その多くは10代の期間に発生することが多いと考えられていますが、もちろん成人した後にも起きる場合があります。

フランス人のアドリアン・ゴルジェのケースはまさにその典型的な例となってしまいました。今回私たちは直接彼の家族から連絡をもらい、彼のこれまで歩んできた人生について深く知ることができました。 

アドリアンは幼少の頃からとても好奇心が強く、勉強熱心であると同時にスポーツも大好きな明るい少年だったそうです。アドリアンには明るい未来が待っている、誰もがそう信じて疑いませんでした。

高校時代の成績も優秀だったアドリアンは、念願だった工科系の大学への進学を決めます。彼はずっと航空力学に興味を持っており、将来は飛行機などの技師になりたいという夢を持っていたからです。

2013年、大学に入学した彼は、輝かしい将来に向けて勉強に励む日々をスタートさせました。

Facebook / Monik Gorget

ところが、些細なきっかけから突然アドリアンはクラスでのいじめの標的になってしまいます。しかも、それはどこの学校でも起きているようなふざけ半分のレベルではなく、かなり激しいものだったようです。アドリアンは苛烈で悪質な嫌がらせを執拗に受けていました。あるとき、彼の乗る車に細工がされ、大きな事故につながってしまったことで、それまで黙って耐えていたアドリアンはついに警察に相談することを決めたそうです。

Facebook / Monik Gorget

その日を境に、アドリアンはクラスで完全に孤立してしまいました。彼が意を決して通報したことで、アドリアンは逆に周囲からの激しい報復を受けることになってしまったのです。この地獄から逃げるように、アドリアンは自転車に乗ってサイクリングに出かけるようになっていました。夢中で自転車に乗り続けた結果、彼はわずか5カ月の期間でなんと4350キロも走行したといいます。

大学の3年生に進級した頃、アドリアンの苦しみはピークを迎えていました。つらい境遇に置かれている息子に対し、家族もまたできる限りのサポートをしてあげようと試行錯誤していたといいます。

アドリアンの車に細工を行ったクラスメートの裁判が近づくにつれ、彼は後日確実に訪れるであろう報復に怯えるようになっていきます。彼の心の中には、もはや恐怖と絶望しかありませんでした。仲間からも大学の教授たちからも完全に見放されたと感じていた彼にとって、残された道は一つしかなかったのです。ある日、アドリアンは若干20歳という若さにして自殺しました。

彼が書き残した遺書には、大学での一連の出来事がこの悲劇の原因であることがはっきりと示されていたそうです。

こちらはアドリアンの家族が彼を追悼するために作成した動画です。

悲しいことに、アドリアンが経験したような出来事は決して珍しいものではありません。いじめという問題は世界中で起こっているものであり、被害を受ける当事者の人生を大きく狂わせます。当事者でなくても、周りにいる私たちもその恐ろしさについてもっと深く学び、止める方法を考えなければいけません。

いじめについてタブー視するのではなく、もっとオープンに意見を交わしあうような環境を作り、被害者を支えると同時に、加害者に対しても彼らの行為がいかにひどいものなのかをはっきりとわからせる、そんな社会を目指す必要があります。アドリアンの事件が広く知られるようになり、より多くの人々がこのいじめという問題について真剣に考えるきっかけになってほしいと思います。