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この写真に何百万もの人々が涙した。その後、この父親に起こったことが感動的。

一昨年の夏、話題となった一枚の写真です。男性は路上で娘を抱えながら車の間を歩き、一時停止中の車にボールペンを売っています。彼の娘は青白い顔をして肩でぐったりと眠り、靴も履いていません。

これはレバノンの首都、ベイルートで写された写真です。当時レバノンには人口の約3分の1に当たる、100万人以上の難民がおり、彼らはシリアからレバノンへ来た難民のうちの1人でした。他の15万人の難民と共に難民キャンプへ住んでいましが、そのキャンプが ダーイシュ(イラクとレバントのイスラム国)による爆撃の対象となり、父娘はそこから出ざるをえなかったのです。ジャーナリストによって公開されたこの写真は、瞬く間に世界中に広まりました。

A rescue team arrives at a building following an air strike by Syrian government forces on January 30, 2014 in the northern Syrian city of Aleppo.

その後、男性はアブドゥル・ハリム・アルアッターさんであることがテレビ局の取材で判明します。彼はパレスチナ人で、シリアの市民権は持っていません。33歳のシングルファーザーには2人の子どもがいて、住む場所を失ったため路上でペンを売り必死で小銭をかせいでいたのです。他の難民同様、過酷な生活を強いられていました。

写真は大反響を呼び、すぐにネット上で募金活動が始まります。そして3ヶ月の間に目標額5500ドルをゆうに越える、20万ドル近くが集まったのです。

しかし難民はレバノンで銀行口座を開けるのが難しく、彼の家族は集まったお金の4割しか受け取ることができませんでした。

アブドゥルさんは、その中から一部をシリアに残った妻や友人たちに送り、残りのお金は飲食店を開業するために投資することにしました。パン屋、レストラン、ケバブ屋を買い、従業員に16人のシリア人難民を雇いました。 

YouTube/AP Archive

アブドゥルさん一家は、ベイルートで安定した生活をようやく手に入れています。彼の9歳の息子も3年半ぶりに学校に復帰、娘の顔にも笑顔が戻りました。

YouTube/AP Archive

家族は現在アパートで暮らし、飲食店からの収入の一部はシリアの人々の援助にまわしているそうです。

YouTube/AP Archive

「変わったのは私の生活だけではありません」アブドゥルさんは言います。「子どもや故郷の人々の生活も助けられるようになりました」

YouTube/AP Archive

こちらの動画でアブドゥルさんの現在の様子を見ることができます(音声アラビア語)。

紛争や迫害によって現在も、一日あたり3万人以上の人が避難を余儀なくされ、国内外で保護を求めながら過酷な生活を強いられています。政府規模の援助などでなくても、人々の善意が個人レベルで効果を発揮することも多々あるのです。シェアして、思いやりの輪を広げましょう。